第22話:雪峰病院の最終試練
雪峰病院の廊下は、赤い非常灯の揺らめきにより、影と光が複雑に交錯していた。
氷室アサギはユナを抱き、手の震えを最大限に研ぎ澄ませながら進む。
その震えはもはや恐怖ではなく、生命の微細な脈動を読み取る感覚として確立していた。
結城セイが低く警告する。
「氷室、これが雪峰病院の最終試練だ。AIと影の監視者、すべての策略がここに集約されている」
廊下の奥では、AIの制御による扉が無作為に閉まり、警報が絶え間なく鳴る。
影の監視者も姿を現し、二人を追い詰める。
氷室は手の震えで空気の微細な変化を感じ取り、ユナを安全に導く。
「止まらない……手は止めない」
ユナの声が胸の奥で響き、震える手に力を与える。
赤い光と影の迷宮、心理的圧迫、生命の危機——すべてが最終試練として二人を試す。
氷室の手は床の振動、空気の流れ、微細な振動を読み取り、最適な回避行動を瞬時に判断する。
結城は冷静に指示を出し、氷室の判断を補佐する。
二人の連携とユナの存在が、最終試練を突破する唯一の希望となる。
廊下の中央で、影の監視者が立ちはだかる。
「ここまで来るとは……だが、君の手の震えだけでは、この試練は超えられまい」
しかし、氷室は手を止めない。
命を守る意思、信頼、少女の命——
すべてを胸に、最終試練に立ち向かう。
赤い光が閃き、警報が最高潮に達する瞬間、氷室は手の震えを完全に集中力に変え、ユナを抱えながら最終ルートを導く。
影の監視者の動きも、AIの策略も、手の震えと意思の前には無力だった。
ついに廊下の先に外部への扉が開き、雪の光が差し込む。
氷室の手は震えているが、命を守り抜いた確かな感覚として残っていた。
ユナの小さな手が氷室の指を握り返し、結城も静かに頷く。
雪峰病院の最終試練は、手を止めない意思と命を守る感覚の真価を示した。
すべての試練を超えた先に、希望の光があった——。




