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第18話:影の正体

雪峰病院の秘密の扉を抜けた先、薄暗い部屋に二人は立っていた。

氷室アサギの手は震え続けているが、その震えが精密な感覚として周囲の空気を読み取る。

赤い非常灯の光は届かず、ただ静寂だけが二人を包む。


結城セイが低く囁く。

「ここに、影の正体が隠されている……」


氷室の胸に緊張が走る。

監査AIによる封鎖、迷宮、心理的罠——

すべての試練は、この真実に辿り着くための布石だった。


暗闇の中、かすかに人影が浮かび上がる。

黒衣に身を包み、動きを殺す影。

しかし、その瞳には冷たい計算ではなく、人間の感情が垣間見える。

影の監視者――雪峰病院の真の支配者の一人だった。


「あなたが……影の監視者……?」

氷室は息を詰め、手の震えを研ぎ澄ます。

数字や規則ではなく、感覚だけが、この人物の動きと意図を読み取る鍵になる。


結城セイが氷室の肩に手を置く。

「油断するな。心理戦だ。君の感覚だけが頼りだ」

震える手が、命を守る羅針盤として働き、次の行動を導く。


影の監視者は静かに歩み寄り、声を低く発する。

「氷室アサギ……君の手の感覚は驚異的だ。だが、雪峰病院の真実を知る覚悟はあるか?」


ユナは小さく震えながらも、氷室の腕にしがみつく。

その温もりが、手の震えを集中力に変え、未知の真実に立ち向かう力を与える。

氷室は深く息を吸い、手を止めない決意を胸に、影の正体に目を向ける。


雪峰病院の影の正体は、封鎖、迷宮、罠を超えた真実そのもの。

手を止めない意思と感覚だけが、この過酷な世界で希望を生み出す力となる——。


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