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降りていく擬態

小学生の子どもと心から遊べる大人はどれほどいるだろうか?

ボクは遊んであげる事ができる。

「よーーーし、クソガキ共バスケやるぞー! オレ一人と全員でかかってこい! 大人パワーでぶっ飛ばしてやるからなー!」

と、そういう子どもが喜びそうで、子ども同士が結託しそうなシチュエーションを作ってあげると子ども達は喜ぶ。

勝ちを譲る気はない。子どもであっても馬鹿にできない。少年少女は手を抜くとそれに興醒めする目をもう持っている。

だから圧倒的に不利な条件を作り出し、その上で全力で勝利を取りに行く。

ボクができる手法の中ではそれが一番子どもが喜ぶ。


さて。


ボクは子どもと遊んで"あげる"事ができる。

遊びたいとは思わない。できる、であって大人が子どもと遊んでもつまらない。

子どもに対して「降りていく」んだ。

相手が下の場合、どうしてもこの「降りていく」という行為が必要になる。

逆に自分よりも頭の回転が早い人と仕事の話をする時は「登っていく」と表現しようか。

兄弟の多い長男長女であれば、この「降りていく」という感覚はなんとなく伝わると思う。

そうやって下の面倒を見るから、慕われる。

そして降りれば降りるほど、それは疲れる。

だから人は自分よりもレベルの低い人を良く思わない。

妖怪は、自分の感情よりも51を得るためならば喜んで降りていく。



例えばこの文章を当事者である『彼』に見せたらなんと言うだろうか?

ボクは簡単に推察ができる。

みんなの前であれば、笑顔で「誰が妖怪人間ベムやねんっ!」とおどけて笑いを誘う。

それにつまらんとツッコミが入れば、またおどけて笑いを誘う高い技術を見せるだろう。

利他的ではなく他人軸だ。

周囲に人がいる場合、おどければみんなが喜ぶ。

どうやっておどけた方が一番喜ぶのか、効果的な方法も熟知している。事実、それはとても面白い。


では二人きりならばどうだろうか?

「全部合っている。とっても参考になった」という言葉。

真剣な場で、二人で酒の席で飲んで初めて本性を見せてくれる。


――わけではない!!!


「オレはこう思ってて、お前図星だろっ!?」

って相手が思っているはずだと妖怪は人間の法則を学習している。

自己の感情を持たない妖怪は承認欲求の邪念が存在しない。

相手にマウントを取らせてあげるためにまた譲っているだけだ。

そして好感度の"1"を獲得する。

これを書いたボクがそのリアクションを見て気持ちよくなる。

その様子を見て、妖怪は掌の上に乗せようとしてくるんだ。



本来、人は自分の感情を覗かれればプラスにせよマイナスにせよアクションを起こす。

「よく分かってくれた!」と気持ちの共感を得られる正の反応。

「そんな事はない!」と図星である心を覗かれる負の感情。

共感か拒絶。もしくはその融合。分かりやすい反応を貰える。

もちろん、前提としてはボクの考察が的外れではなく的確だった場合に限るという補足は加えておこう。


しかし人間もどき、もとい妖怪人間ベムはそんな事をしない。

こうすれば相手が喜ぶとその反応を探す。

咀嚼せず、食事の機能を持たず、右から左へパスするだけ。

本心の言葉は何も持っていない。

ゆえに妖怪。


ある日ボクが別の友人と怒鳴り合っている時、その場に彼が居た。

その日、彼は静かに観察していた。

後日彼は「オレも本当の自分を見せたい!」と叫んだ時、疑念が確信した。

ああ、コイツはそれがあると、さらに人間の擬態が上手くなると思っているんだな、と――。


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