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3-2.『ふたりの親友』

世加依は、通う高校の門前に到着する。


他人となるべく視線を合わせぬよう、校門を通り、世加依は教室へ入る。


ヲタクな世加依ではあるが、彼女には友人が二人だけいる。


清楚で色白、セミロングの


『アッちゃん』こと、


「峰敦子」。


お人好しで天使のように優しい。



もう一人は、ボーイッシュなショートヘアの


『サッちゃん』こと


「寿早苗」


である。


しっかり者だけど恥ずかしがり屋だ。



オタクでコミュ障なセカイにとって、二人はかけがえのない存在である。


アツコ「今日はクマすごいねえプラモデル?それともアニメ?」


世加依のことをよく知る敦子が、気遣うように話しかけてくる。


優しい問いかけに対して、卑猥な乙女ゲーをやっていたとは答えられず、「プラモデル」とワタシは嘘を付いた。


その上で世加依は敦子の豊満な胸部に対してイジリを入れる。


セカイ「それよりアッちゃんこそ、今日も巨乳ですなあ」


アツコ「もうっ、やめてよそのノリ〜」


敦子はまるでセクハラを受けたOLのように、迷惑そうに微笑みながら返事をした。


いっぽうの早苗。


彼女は、女子から嫌われているクラスのマドンナ「天城恵梨香」に対しての文句を垂れていた。


サナエ「恵梨香のヤツ、今度は●●君を振って、●▲君と付き合いはじめたらしいよ。ホント、男垂らしだよね」


そう言う早苗の視線の先には、教室の一角、男子たちに囲まれている天城恵梨香の姿があった。


天城恵梨香は美人である。


しかし『美人』が同性に嫌われるのはこの世の運命さだめなのかもしれない。


世加依はイケてる男子たちに囲まれている恵梨香の様子を一瞥した。


しかしオタクな世加依にとっては、クラスの男女の色恋沙汰よりも、夜更かししたことで授業中に居眠りしてしまわないか、その方がはるかに心配だった。


サナエ「セカイ、ちょっとこれ。」


早苗が渡してきたのは薄い冊子の入った封筒だった。入ってるのはBL本である。


早苗と世加依はBL仲間なのである。


世加依は封筒を受け取ると、まるで秘密の文書でも手に入れたかのように早々と自分の鞄へとしまった。


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