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午後の疑念

ミハルが保育園へミツキを迎えに行ったとき、娘の様子がいつもと違うことに気づいた。

いつものように元気に走ってこず、ウサギのぬいぐるみを強く抱きしめながら、ゆっくりと歩いてきた。


—どうしたの、ミツキ?

ミハルはしゃがみ込み、娘の目をのぞきこんだ。


ミツキは涙ぐんだ目で母を見上げた。


—ママ……レンジくんが、わたしを傷つけようとしたの。でもできなかったの。


ミハルは背筋に冷たいものが走った。


—どういうこと?できなかったって?


—あのね、レンジくん、変な目で見てたの。赤い目だったの。

それで、先生が……なんだか先生じゃないみたいで、わたしを押そうとしたの。

でも、ブレスレットが光って……何もされなかったの。


そのままラディアント・カフェに戻ると、ミハルはミツキを直接リリィの元へ連れて行った。

ミツキがリカと一緒に遊んでいる間、ミハルは聞いたことをすべて話した。


—これは普通のことじゃないわ。先生が正気じゃないみたいに動いて、しかも子どもがミツキを傷つけようとするなんて……

リリィ、これってヒロトの時と同じよ。


リリィは眉をひそめ、腕を組んだ。


—アビスは、弱く傷ついた心を好む。

その子が家庭で問題を抱えているなら……すでにクリスタルに“印”をつけられている可能性があるわ。


ミハルは不安そうに目を伏せた。


—子どもが……そんな闇に使われるなんて、あまりにも残酷すぎる。


その時、ミツキが絵を持って部屋に現れた。

それは、みんなを魔法少女として描いたかわいらしい絵だった。


—レンジくんは悪くないよ、ママ。

ただ、悲しいだけなの。でもね、悪い声が彼に話しかけてるの、わたし感じたの。


ミハルは驚き、リリィは興味深そうにミツキを見つめた。


—小さな子どもは、大人よりも感情に敏感なのよ。

ミツキちゃんは、ブレスレットを通してクリスタルの存在を感じ取ったのかもしれないわ。


ミハルは娘を抱きしめた。

もしレンジが完全に制御を失ったら——そう考えるだけで体が震えた。


—絶対に……あの闇には触れさせない。ミツキ、ママが守るって約束する。


その頃、レンジの家では、彼の胸に埋まったクリスタルが脈打つように輝いていた。

レンジはそれを見つめながら、うっとりとした声でささやいた。


—もうすぐだ……みんな、僕が一番強いって知ることになるんだ。

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