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倒れた敵の残響

公園は封鎖され、SWATとパトロール隊が現場を囲っていた。

負傷者の搬送、火災の消火、混乱の収拾が進められる中――

竹村ヒロシは、地面にうつ伏せのまま手錠をかけられ、虚ろな目で何かを見つめていた。


刑事・タケダは銃を片手に彼へと近づき、

その視線を、少し離れた場所に立つ魔法戦士たちに移した。


彼女たちは、満身創痍で、それでも凛として立っていた。


「彼女たちは……」

タケダは呟いた。

「“脅威”なんかじゃない……

これが本当の“脅威”を止めた、唯一の力だったんだ。」


だが、その上司は納得していなかった。


「タケダ!」

怒声と共に、彼は戦士たちを指さす。


「あれは何だ?! 味方か、怪物か、どっちだ!?」


タケダは歯を食いしばりながら言い返した。


「――守護者たちだ。

彼女たちを“敵”とみなせば、

取り返しのつかない過ちになる。」


周囲の警官たちは、口を開けることができなかった。

その言葉が、彼らの胸に疑念と希望の種を同時に蒔いていた。




夜が明ける頃、各メディアは混乱の映像を繰り返し流していた。

燃える公園、銃声と悲鳴、

そして巨大な闇と戦う――少女たちの姿。


テレビでは絶えず議論が繰り返された。


「彼女たちは謎のヒロインか?」

「それとも、新たな超常的脅威か?」


SNSは賛否で二分された。


「彼女たちは守護天使だ」


「人間兵器だ、危険だ」


Radiant Magical Warriorsという名は、

急速に拡散し始めていた。

――それが「希望」か「恐怖」かは、まだ定かではなかった。



その頃、レディアントカフェでは

リリィが、竹村ヒロシを蝕んでいたブラックアビスの結晶を封印箱に納めていた。


彼女の表情は、険しく、冷たい。


「……これは、ほんの一片にすぎない。」


テーブルの周りでは、戦士たちが傷の手当てをしていた。

その静けさの中、ミツキが母に駆け寄った。


「ママ!無事だったんだねっ!」


ミハルは娘を抱きしめ、涙をこらえながら微笑んだ。


「ええ……みんながいてくれたおかげよ。」


レイカは黙って座り、時計を見つめていた。

「……お父さん。これから……どうするの?」




リリィが静かに、戦士たちの中心に立つ。


「よく聞いて。

もしヒロシが“シェイド”にまでなれたのなら――

ブラックアビスの力は、もはや外から侵すものじゃない。」


「内側から、人の心を蝕み、

望んで闇に落ちる者を生み出しているの。」


全員が黙ってリリィを見つめる。

室内に重苦しい沈黙が落ちる。


「……そして、私の予感が正しければ――」


リリィは目を閉じ、声をさらに低くする。


「シェイドは駒に過ぎない。

真の“敵”は、まだアビスの奥に潜んでいる。」


「その“本体”は、私たちを見ている。

次は……あいつの番よ。」

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戦争の中でも、笑顔こそ最強の武器。

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