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終焉を告げた時計

四人の魔法戦士たちは立ち尽くしていた。

傷だらけで、血を流し、もう立っているのがやっとだった。

だが、その瞳には――決して揺るがぬ意志が燃えていた。


「今しかないッ!」

――ユイが叫び、炎に包まれた拳を構える。


「倒れるとしても、戦って終わる!」

――リカの杖が、怒れる川のように輝いた。


「娘のために――私たちを信じてくれるすべての人のために!」

――ミハルの盾が、琥珀色の光を放つ。


「言い訳の時は終わった!」

――レイカの時計が、運命の終点を刻む。


空が、眩い閃光とともに割れた。


「Radiant Combination! Eternal Break!」


紅の炎、蒼の激流、琥珀の光、そして紫の歯車。

それらがひとつになり、純粋なるエネルギーの砲撃となって放たれた。


その一撃は、竹村ヒロシを貫き、

彼を蝕んでいたブラックアビスのクリスタルを砕いた。


男の体は痙攣し――

悲鳴と共に、人間の姿へと戻って地面に崩れ落ちた。



ヒロシは苦しげに呼吸を繰り返す。汗にまみれ、敗北し、声はかすれていた。


「……こんなはずじゃ……なかったんだ……

ただ……ただ、耐えていただけなんだ……

会社も、社会も……全部、俺を押し潰してきた……

誰も……誰も、分かってくれなかったんだ……」


ユイは睨みつけながら、怒りを抑えた声で言った。


「だからって、無関係な人たちを巻き込んだの?」


ヒロシは、顔を伏せ、震えていた。




クロノエンプレスの姿のまま、レイカが前へと歩み出る。


その瞳には涙が宿っていたが、声は鋭く、容赦がなかった。


「言い訳はもう、うんざりよ。」


「私だって、この世界の“ゴミ”を嫌というほど味わってきた!

路上で暮らして、誰からも見下されて、それでも生きてきた。

それでも私は、逃げなかった!」


声が震える。けれど、止まらない。


「あなたは――逃げた。

未熟で、弱くて、責任から目を背けて、闇に身を投げた。

あんたは――哀れなクズよ。」


ヒロシは、苦しげに目を開けたが、何も言えなかった。




ミハルが歩み寄る。

唇に血が滲んでいたが、静かで確かな声だった。


「あなたは、本来あるべき姿よりも――小さな存在になることを選んだのよ。」




レイカの拳は震えていた。

だが、その手のひらからは、もう恐れも迷いも消えていた。


「私は――もうあなたの“影”を背負わない。」


「謝罪なんていらない。

欲しいのは、あんたが生きて後悔すること。

自分がどれだけ愚かだったか、

誰を傷つけて、誰を失ったのか――ちゃんと考えて生きろ。」


沈黙が、爆風の後の公園を支配した。


特殊部隊SWATの隊員たちは理解が追いつかず、ただ見守っていた。

刑事タケダはゆっくりと銃を下ろし、

目の前の出来事に圧倒されていた。


ヒロシは崩れ落ち、両手で顔を覆った。

今さら、どんな言葉も――取り返せない。



レイカは一度だけ彼を見つめ、

そして、仲間たちと共に歩き出した。


「時間は、もう戻らない。

でも私は――これからを進んでいく。」


彼女の時計が一度だけ輝き、

“ある男の終焉”と

“彼女たちの新たな力”の始まりを刻んだ。

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戦争の中でも、笑顔こそ最強の武器。

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