不可能な戦い
黒き深淵のエネルギーをまとい、竹村ヒロシは凄まじい咆哮を上げた。
その身体は黒と紫の脈動する筋で覆われ、完全に人間の姿を捨てていた。
「光の娘たちよ…!
お前たちには、この世界に食い尽くされる痛みなど分かるまい…!」
――ブレイズフィスト、ユイが炎の拳で突撃する!
「行くよおおおおおっ!!」
その一撃はヒロシの胸に直撃――
しかし、まるで効かなかった。
ヒロシは無言で拳を振り下ろし、ユイを地面へと叩きつけた。
血が飛び散る。
「ユイっ!!」
ストリームプリンセスのリカが叫び、駆け寄る。
だがヒロシは容赦しなかった。
リカの水の鞭を一瞬で突き破り、硬化した腕で彼女の魔法衣装を引き裂いた。
「ぐっ……!」
肩から血が流れ、リカは膝をつく。
アンバーハート、ミハルが盾を掲げた。
「下がって!私が――!」
だがその盾は、ヒロシの暗黒の波動によって真っ二つに砕け散る。
吐血しながらも、ミハルは立ち続けた。
「ここでは……倒れない……!
私には、待ってる娘がいるんだから……!」
クロノエンプレスのレイカは、涙を流しながら時計を構えた。
あの男は……自分の父。
でも、今目の前にいるのは――怪物。
「やらなきゃ……!」
彼女の時間魔法が放たれるも、ヒロシは数秒でそれを破り、ゆっくりと近づいてくる。
「レイカ……お前まで俺を捨てるのか……。
なら、一緒に死ね。」
SWATの銃撃も通じず、タケダ刑事の声も空に消える。
「……くそっ、俺たちには……もう、彼女たちしかいないのか……?」
✦ 最後の叫び
ユイが血を流しながら、ふらつきつつも立ち上がる。
「私たちは……負けない……!」
リカが涙をこぼしながら微笑む。
「命をかけても……あなたを止める!」
ミハルは拳を握りしめ、炎のように燃える心で叫ぶ。
「ミツキの未来のために……私は退かない!!」
そして、クロノエンプレスが時計を高く掲げた。
「……お父さん。
これが、あなたに与える最後の“一秒”よ。」
時間が砕けた。
空間がひび割れ、ヒロシの動きがわずかに止まる。
それだけで――十分だった。
四人の戦士たちは、血を流し、ボロボロになりながらも、並び立つ。
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戦争の中でも、笑顔こそ最強の武器。