混沌の咆哮
レイカとミツキは、穏やかな午後の散歩に出かけていた。
公園には風が吹き、花が揺れ、ブランコが静かに揺れている。
――まるで、何もかもが平和に見えた。
だがその影に潜む二つの存在がいた。
ヒロト・カナザキとシェイド。
「……あの子か。」
ヒロトが口元を歪める。
「面白い力を持っている。特別な“鍵”だ。」
シェイドが囁くように答える。
「人間の“恐怖”は最高の燃料だ。
その少女こそ、混沌への扉。」
すると、公園の片隅にいた男性が突然立ち止まり、虚ろな瞳になる。
次の瞬間、胸にブラックアビスの結晶が突き刺さり、
黒い静脈が皮膚を走り、彼の肉体は歪み、怪物へと変貌した。
人々の悲鳴が上がり、直後に警報が鳴り響く。
以前の襲撃以降、警戒を強めていた警官たちが駆けつける。
その時、遠くからミハルの声が響く。
「レイカ、ミツキを連れて逃げて!」
怪物がミツキに腕を振り下ろす。
その瞬間、ミツキの琥珀のブレスレットが光り、防御結界を展開。
攻撃を見事に防いだ。
レイカはミツキを抱きしめ、歯を食いしばる。
「……絶対に、誰にも触れさせない!」
その瞬間、彼女たちの足元に魔法陣が出現し、光に包まれる。
リリィによる緊急転送だった。
二人は無事、ラディアント・カフェへ避難した。
◆ ◆ ◆
公園では戦闘が激化していた。
ブレイズフィスト(ユイ)、ストリームプリンセス(リカ)、
**アンバーハート(ミハル)**の三人がすでに変身し、激しく戦っていた。
逃げ惑う市民。
パトカー、装甲車、そして上空にはヘリ。
あらゆる光が、怪物の影を映し出す。
その時――
シェイドがヒロトに目を向ける。
「もう十分だ。
“道具”は“武器”になる時が来た。」
「……なに……っ!?」
ヒロトの叫びと共に、全身を黒い波動が包む。
その身体は、金属と肉の融合した異形の姿へと変貌し、
目は深紅に輝いた。
「ヒロト!? うそ……」
リカが悲鳴のように叫ぶ。
さらにSWAT部隊が到着。隊長が叫ぶ。
「目標を排除せよ!発砲開始!」
銃声が公園に響き、銃弾が怪物とヒロトを貫く。
しかし彼らは怯むどころか、闇のエネルギーと鋼鉄の爪で
応戦し、警察車両を次々と破壊していく。
その現場に現れたのは――刑事・タケダ。
拳銃を手に、戦場と化した公園を見つめる。
「……本当だったのか。
噂なんかじゃない。」
彼の目に映るのは、怪物と戦う少女たちの姿。
正義か、脅威か――彼はまだ迷っていた。
「彼女たちは……敵か、それとも、
……この街の、最後の希望か。」
炎。叫び声。
ブラックアビスの結晶が脈動し、まるで混沌を喜んでいるかのように光る。
それでも、ラディアント・ウォリアーズは立ち向かう。
「ここで引いたら、守れない!」
ユイが叫ぶ。
「私たちが倒れたら、この街も終わる!」
ミハルが応える。
同じころ、カフェの奥。
ミツキを抱いたレイカが、震える指先でその頭を撫でる。
ミツキは不安そうに、けれど確かな声で囁いた。
「……おねえちゃん……ママ……きっと勝てるよ。」
その言葉が、静かに空気を震わせた。
混沌に沈む街の中で、
希望は、まだ消えていなかった。
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戦争の中でも、笑顔こそ最強の武器。