闇夜の襲撃
深夜――ラディアント・カフェはすでに閉店していた。
照明は落とされ、少女たちは訓練の後片付けをしていた最中だった。
そのとき、カラン――とドアベルが鳴る。
外には「CLOSED」の札が下がっていたにも関わらず、ひとりの男がゆっくりと店内へ足を踏み入れてきた。
その笑みは、不自然なほどに広がっていた。
「遅くにすみませんね……」
ざらついた声が、空気を裂く。
「でも……お腹が空いて、たまらないんですよ。」
ユイが前に出て、警戒を露わにする。
「申し訳ありませんが、もう営業は終了しています。
ご用の方は明日また――」
男が顔を上げた。
その瞳に――漆黒の光が灯る。
「……明日は、ない。」
瞬間、ブラックアビスの瘴気が爆発的に広がった。
男の体はねじれ、腕は金属のように伸び、顔は鋸のような歯を持つ鉄の仮面へと変貌する。
「全員、後ろへ!」
リリィが杖を掲げ、結界を展開。
しかし、怪物は真っ先にミツキのいるテーブルへと飛びかかった。
ミツキは叫び声を上げて腕をかざす――その瞬間、
リリィから贈られたブレスレットが黄金のバリアを展開し、攻撃を防いだ。
「ミツキ!」
ミハルがすぐさま駆け寄る。
リリィは魔力の波で怪物を押し戻す。
「レイカ、私のそばに! 今のあなたじゃまだ危険よ!」
レイカは歯を食いしばりながらも頷き、後方に退く。
◆ カフェでの戦い
ユイはすでにブレイズ・フィストに変身し、炎を纏った拳で怪物に突撃。
「ここは……私たちの“家”よ! 絶対に踏み荒らさせない!」
リカはストリーム・プリンセスとして、水の障壁を展開し、鋭い金属の腕を受け止める。
「ミハル、後退して! 私たちがやる!」
ミハル(アンバー・ハート)はミツキを抱え、カウンターの奥へ避難。
ミツキのブレスレットは恐怖に応じてさらに光を強めていた。
◆ 反撃の時
怪物は咆哮を上げ、金属の触手のような腕を伸ばし、少女たちを捕えようとする。
ブレイズ・フィストは俊敏なフットワークで回避し、連続パンチで距離を詰めていく。
ストリーム・プリンセスは水の鞭を放ち、敵の腕を絡め取る。
その隙に、リリィが光の封印魔法を放つ。
魔法陣が怪物を拘束し、一瞬の硬直を作り出す。
「今よ! 一斉に叩いて!」
ユイとリカは互いに頷き、迷いなく技を重ねる。
「――ブレイジング・インパクト・パンチ!」
「――アクア・ストリーム・ブレイク!」
火と水の力が融合し、怪物の仮面を粉砕。
内部からブラックアビスの結晶が飛び出し、男はその場に倒れ込んだ。
正気を取り戻したその姿は、ただの人間だった。
◆ エピローグ
静寂が戻ったカフェ。
ミツキは震えながらも、光るブレスレットを掲げる。
「……お姉ちゃん……ママ……
守ってくれたの。」
ミハルは娘を強く抱きしめ、震えた唇で微笑む。
リリィは床に転がる闇の結晶を拾い上げ、低く言った。
「……やはり来たわね。
ブラックアビスはもう、影に潜んではいない。
私たちの“拠点”にすら――牙を剥いてきた。」
少女たちは沈黙のまま視線を交わした。
この“家”が、もはや安全地帯ではなくなったという現実を、誰もが痛いほど理解していた。
そして、新たな覚悟が、その静寂の中に燃え始めていた。
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戦争の中でも、笑顔こそ最強の武器。