鎖につながれた心
ガラスの高層ビルの最上階――
レイカは闇の嵐のように突入した。ブラックアビスのオーラがオフィスを覆い、ガラスを砕き、家具を次々と破壊していく。
彼女の前に立つのは、シャドウの上司とその護衛たち。男は恐怖に震えながら一歩後退した。
— な、なんなんだお前は…?
レイカは大鎌を持ち上げ、最後の一撃を放とうとする。
しかし、その目が男を捉えた瞬間――
記憶の閃光が彼女の中を貫いた。
泣き叫ぶ母の声。
「行かないで!」と叫ぶ姉の声。
冷たく威圧的な男の姿――
今、目の前にいるこの男と重なる。
— …お父さん…?
レイカの声は震えていた。
空中に浮かぶ大鎌が揺れ、闇のオーラが一瞬ちらつく。
苦しみとひび割れ
過去の記憶が一気に溢れる。
終わらない叱責、完璧を求められた日々、
自由を求めて逃げ出した夜。
張り詰めた糸が切れそうなほどの苦しみ。
だがその中に、最近の日々が割り込む――
ミツキが見せた無邪気な笑顔。
リリーの言葉:「あなたの心は道を知っている」
救おうと手を伸ばすラディアント戦士たちの想い。
胸の中で何かが叫ぶ。ブラックアビスの命令と、心の声がぶつかり合う。
— 嫌だ…もう…!
レイカは胸を押さえ、地面に叫ぶように声をあげた。
介入と救い
そのとき、オフィスにユイたちが突入してきた。
— 今だ!引き離して!
ユイが叫ぶ。
ミハル(アンバー・ハート)は男の腕をつかみ、琥珀の力で後方へ引き離した。
— あなたはここにいてはダメ。早く逃げて!
リカ(ストリーム・プリンセス)は水の壁を展開し、レイカを押し戻す。
— ミハル、彼を任せた!ユイ、こっち!
レイカは叫びながら大鎌を振るい、ビル全体を揺らすような闇の波を放った。
だが、ユイはもう目の前にいた。燃える拳を構えながら。
— レイカ、私は…あなたを失いたくない!
あなたは…私たちの仲間なんだ!
リカも力を重ねる。
— ストリーム・プリンセス、浄化の水よ!
— ブレイズ・フィスト、再生の炎よ!
— 合体攻撃:クリムゾン・ストリーム・プリフィケーション!
紅蓮の火と蒼の水が渦となり、レイカを包む。
眩しい閃光の中、闇のオーラが破れ、黒いクリスタルが音を立ててひび割れ――
砕けた。
レイカの体は膝をつき、瞳は再び温かな茶色に戻る。
暗黒の大鎌は消え、床に転がるのは彼女の古いバットだけ。
— 私…なにを…してたの…?
震える声で、レイカは呟く。
ユイは彼女の肩をしっかりと抱いた。
— 大丈夫。戻ってきた。それがすべてよ。
リカも微笑みながら、疲れた声で言う。
— あなたは強いよ、レイカ。でももう…一人じゃない。
ミハルが壊れたドアの奥から戻ってくる。
男を連れて、息を荒くしながら。
— 終わったわ。彼女は…自由になった。
闇に潜む者
その光景を遠くのビルから見ていたヒロトは、歯を食いしばって悔しさを隠せない。
だがシャドウは冷静だった。
— 構わない。今日はひとつ、重要な学びがあった。
— 傷ついた心は、閉じることも…砕けることもある。
次は、もっと深く切り裂こう。
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