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朝の出会い

朝の空気はひんやりとして、どこか優しかった。


ミハルは、シンプルなワンピースに小さなリュックを背負った田中ミツキの手を優しく握って歩いていた。

リリィが紹介してくれた新しい保育園へ向かう途中だった。そこは以前よりもずっと安全だという。


出かける前、リリィはミツキの手首に星型の護符ブレスレットをつけてくれた。


「もし何か変なことがあったら、これが光るから。

そうしたら、すぐに私がわかるようにしてあるの。」


その言葉に、ミツキは胸を張って答えた。


「うんっ、ママ!」


道を数分歩くと、角の向こうに見覚えのある姿が現れた。

黒いジャケット、染めた髪、そして肩に担がれた金属バット。


イオキ・レイカだった。


彼女の茶色の瞳がふたりを捉え、一瞬で気づいたようだった。


ミハルは少し緊張しながらも声をかけた。


「昨日は……ありがとう。」


レイカは頭を少し傾け、無愛想に答える。


「何のこと? 覚えてないけど。」


ミハルは微笑みを崩さず、優しく言った。


「路地裏のこと。助けてくれたでしょ。」


レイカが何か返そうとしたその瞬間、ミツキが満面の笑みで叫んだ。


「お姉ちゃん、ありがとうー!」


レイカの瞳の鋭さが、ほんの少し和らいだ。


彼女はしゃがみ込んで、ミツキの目の高さで言った。


「どういたしまして。ちゃんと気をつけるんだよ、ちびちゃん。」


そして、驚いたことに――

レイカが自然な口調で提案した。


「保育園まで、ついてってやるよ。女の子ふたりじゃ、まだ危ない。」


一緒に歩きながら、保育園の前までついた。

ミツキは門のところで手を振った。


「いってきまーす、ママ! お姉ちゃんも!」


ミハルはほっとした表情で、レイカに頭を下げた。


「本当に……ありがとう。」


レイカは肩をすくめたが、次の瞬間――

**ぐううう……**というお腹の音が鳴り響いた。


ミハルは思わず眉を上げて、くすっと笑った。


「……お腹、すいてるんじゃない?」


レイカは目を逸らして言った。


「別に、なんでもない。」


けれど、再びお腹が正直に答えてしまう。


ミハルは微笑みながら言った。


「カフェに行こう? あったかい飲み物でもどう?」


最初は断ったレイカだったが、もう一度お腹が鳴ると――

小さくため息をついて、ぼそっと答えた。


「……じゃあ、ちょっとだけ。」


そしてその日――

バットを持った“正義の不良少女”は、ラディアントカフェへの第一歩を踏み出すことになったのだった。

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ほんの一言でも、皆さんの言葉は、私が物語を書き続ける大きな力になります。




これからも、心を込めて紡いでいきますので、よろしくお願いします

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