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嵐のあと 2

夜のラディアント・カフェは静寂に包まれていた。店は閉まり、灯りは落とされ、奥の部屋ではオラクルミラーの光だけが空間を照らしていた。


ユイ、リカ、美陽ミハルは椅子に座っていた。戦いの痕が体に残っており、隣の部屋ではミツキが眠っていた。彼女たちの背負う重みなど知る由もなく。


リリィは腕を組んで立っていた。その表情は真剣で、どこか気品すら漂わせていた。

――今日、あなたたちは勇気を見せたわ。でも同時に、自分たちの脆さもね。あの戦いは悲劇になってもおかしくなかった。


ユイは目を伏せ、拳を握った。

――仕方なかったんだ…ミツキがあそこにいたから。


――わかってる ――リリィは頷いた。――でも、反応するだけじゃ足りない。あなたたちはただの女の子じゃない。戦士として考えるべきよ。目の前の怪物だけじゃなく、全体を見て動くの。


リカが顔を上げ、不安そうに尋ねた。

――どういう意味?


リリィは一歩前に出て、厳しい口調で言った。

――無関係な人たちがいる場所で戦えば、あなたたちは常に不利よ。これからの任務は、敵を倒すだけじゃない。戦いの場を人々から引き離すこと。それが大事。


ミハルは眉をひそめた。

――でもどうやって? あんな怪物たちを動かす力なんて、私たちにはないわ。


リリィは落ち着いて頷いた。

――だからこそ訓練が必要なの。力だけじゃなく、戦術もね。地形を利用する方法、敵を誘導する技術、そしてエネルギーの正確な使い方。それらを学ぶのよ。


ユイが顔を上げ、挑むような目を向けた。

――つまり…本気で私たちを訓練するってこと?


――ええ ――リリィはきっぱりと答えた。――ラディアント王国が選ぶのは、即興で戦う戦士じゃない。真の守護者よ。そして、私があなたたちをそのレベルまで引き上げる。


三人は互いに顔を見合わせた。疲れの色は濃かったが、その奥には新たな光があった――決意。


ラディアント・カフェは一般には閉じられていた。ミツキ・タナカは隅のテーブルで遊んでいた。紙と色鉛筆、そしていつものぬいぐるみのウサギと一緒に。


保育園での襲撃の後、リリィは彼女を自分たちのもとで保護することに決めた。ここなら安全、これ以上の危険から遠ざけられると信じて。


その間、奥の秘密の訓練室では、ユイ、リカ、美陽がリリィの指導のもと、訓練に励んでいた。打撃音、掛け声、そして壁から漏れる光が、空間全体を震わせていた。


ミツキは椅子に足をぶら下げながら、その音に耳を傾けていた。目を輝かせながら、赤いクレヨンを手に取る。最初に描いたのは、琥珀色のドレスを着たお母さん。その次に、光るグローブをつけたユイ。そして青い杖を持ったリカ。最後に自分自身を、ピンクのドレスに胸に宝石をつけた姿で描いた。


――わたしも…ヒロインになりたい ――と、乳歯の見える笑顔でつぶやいた。


大きな衝撃音が聞こえて、顔を上げた。

――今のは…ブレイズフィストだ! ――テレビ番組の実況みたいに叫びながら、炎のこぶしを描き加える。


次の青い閃光に、また拍手を送った。

――今のは…ストリームプリンセス!


母の声が聞こえてきたとき、彼女をいちばん大きく描いた。

――ママは…アンバーハート!


絵が完成すると、彼女はそれを誇らしげに掲げた。紙の上には、ブレイズフィスト、ストリームプリンセス、アンバーハート…そして自分、ピンクのきらきらドレスを着たミツキが描かれていた。


――いつか…わたしもいっしょに戦うんだ ――子どもの夢らしい、確かな口調で言った。

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