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母の力 — アンバー・ハート・ガーディアンの誕生

混乱は頂点に達していた。

巨大ドールの機械仕掛けの腕が伸び、炸裂する波動で先生たちと園児たちは深い眠りに落とされた。園庭には静寂が戻り、その場にあったのは機械歯車の金属音だけだった。


「ミツキ!」

ミハルは絶叫しながら走り出した。娘は取り囲まれ、涙を浮かべて怯えていた。


暗闇の奥から、ヒロトの冷酷な声がドールの意識に直接響いた。

—「やれ…あの女を…」


機械ドールは巨大な腕を構え、ミツキを狙った。

ミハルは躊躇なく飛び込み、自分の体で娘をかばった。

—「触らないで…絶対に!」


ユイとリカ、そしてリリーも立ち上がろうとしたが、その強烈なパワーに攻撃はかすり傷すらつけられなかった。


ミハルは目を閉じ、これまでの記憶が走馬灯のように蘇った。

初めてミツキを抱いたとき、はじめての笑顔、よちよち歩き、隣でないと眠れなかった夜——たった二年でも、ミハルにとっては一生にも匹敵する愛の歳月だった。


涙を浮かべながら、全身全霊で叫んだ。

—「いや…そんなこと、絶対にさせない!私が…私が守る…誰にも渡さない!」


その瞬間、胸から温かな光が溢れ出した。

アンバー色の光線がドールを直撃し、彼女を後退させた。

驚くことに、ミハルの手首には心臓のように脈打つアンバーのハート型のブレスレットが浮かび輝いていた。


覚悟の力に応えるかのように、そのアーティファクトはミハルの決意に反応して鼓動を打っていた。

ミハルはそれをしっかり握りしめ、叫ぶ。


—「Charge Love Up!」


光が体を覆い、彼女の姿は琥珀の輝きをまとった装いに変化した。

髪は伸びてアンバーゴールドに輝き、ツインテールになびく。

短いフリルスカートとおしゃれな手袋——その姿はまさに魔法の戦士だった。


—「私は…決して屈しない心。揺るがぬ愛の炎。……Amber Heart Guardian!」


ミツキを背に立つミハルは、絶望の母から、魔法戦士へと変貌を遂げた。

胸の輝きは消えず、眼差しには新たな決意が映っていた。


ドールは変身によってダメージを受け、一歩後退した後、怒りを込めた機械の咆哮をあげた。


ユイは唇の血を拭いながら立ち上がった。

—「ちっ…みてられないな。Blaze Fist、行くぞ。」


リカも息を整えてウィンドミルのように杖を回す。

—「Stream Princess…私も行く!」


三人は力強く整列する。Amber Heartは優しく微笑み、しかしその目は確かな決意に満ちていた。


—「長く頑張ってくれてありがとう。さあ…一緒に戦いましょう。」


Amber Heart の技


ドールが砲撃を放つ。

Amber Heartは手を翳すと、アンバーの光が円形の結界を描いた。


—「Amber Shield of Love!」


砲撃は盾に跳ね返され、その反動でドールの胸部がへこむ結果に。


—「すごい…!」とリカが驚嘆。

—「この盾があれば…反撃できる!」ユイも続ける。


ユイは炎のフックで突撃。

—「Crimson Break Punch!」


リカは渦巻く水流を杖から呼び出す。

—「Stream Slash!」


一撃がドールを直撃し、弱り始めた敵に追い打ちをかけるようにAmber Heartはブレスレットを空高く掲げた。


—「最愛のために生まれた、この力…Amber Radiant Burst!」


暖かな光の奔流がドールを包み、金属の装甲を浸透。闇の結晶にも届き、浄化の爆発が起きた。

機械の破片が弾け、ドールは背中に倒れ、ついには人間の先生として意識を取り戻した。

遠景からヒロトは険しく観察していた。

—「くそ…あいつも目覚めやがったか。ますます面白くなる…」


シェイドの声が脳裏に響く。

—「構わない。今日は価値のある学びを得た。次はもっと大変になるぞ。」


ヒロトは静かに影の中へと姿を消した。


Amber Heartは疲れて跪いたが、力強い笑みを浮かべた。

ユイとリカが支える。


—「やったね…」リカの瞳は輝いていた。

—「違う、一緒にやったんだ」Amber Heartは寝かされた娘を見つめながら言う。

—「これからも、なにがあっても守るって約束する。」



その後、保育園は緊急に対応され、先生は病院へ。子どもたちは無事に保護された。カフェは静寂を取り戻しつつあったが、空気にはまだ緊張が残っていた。


Amber Heart の姿で、ミハルはまだ手首のアンバーブレスレットを見つめていた。


—「これは…いったい何?どうして今、現れたの…?」


リリーは秘密の部屋にて、オラクル・ミラーのそばで彼女を見守っていた。


—「それは装飾ではないの。これは数世紀前にラディアント王国で作られた“ラディアント・アミュレット”の一つよ。どれも純粋な感情と結びついた、壊れない絆に応える神器なの。」


リカは杖を握ったまま身を乗り出す。

—「つまり、ミハルのアミュレットは…?」


リリーは穏やかに頷いた。

—「ミハルのものは“アンバーのアミュレット”。絶対に揺るがない母と子の愛を象徴するものよ。あなたがミツキを救おうとしたその瞬間、あなたの心はどんな闇よりも強く輝いたの。」


ユイは息を整えながら腕を組む。

—「じゃあ…誰でも絆があれば、私たちみたいになれるの?」


リリーは否定する表情で、「そうではない」と返す。


—「アミュレットは誰にでも現れるわけじゃない。ただ、絶望さえ耐えうる心が選ばれるの。ミハル、今日、それを証明したの。」


ミハルは涙を浮かべながらブレスレットに触れる。


—「ということは……私も戦うべきってことでしょうか?」


リリーは優しく微笑む。


—「あなたは…戦わなきゃいけないわけじゃない。もう戦っているのよ。娘を守る──その瞬間から、あなたは既にRadiant☆Magical Warriorになっている。」


リカはミハルの手をしっかり握り返す。


—「ようこそ、チームへ。Amber Heart。」


ユイも疲れた笑みを浮かべて頷いた。


—「ええ。これで私たちは三人そろった。」

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


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