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痛みの記憶

ラディアントカフェのベルが再び鳴った。

カウンターでカップを拭いていたミハルは顔を上げ、よく練習されたウェイトレスの笑顔で言った。


「いらっしゃいませ、ラディアントカフェへ…」


だが、その言葉は喉で詰まった。

ドアをくぐってきた人物を見てしまったからだ。


茶色がかった暗い髪、シンプルなジャケット、そしてどこか穏やかだが、強い確信を湛えた視線。

そこに立っていたのは、見覚えのある若い男だった。


「……ミハル……」

低く、信じられないような声で彼は彼女の名を呼んだ。


ミハルは一瞬凍りついた。目を見開き、驚きを隠せなかったが、

すぐに唾を飲み込み、プロの笑顔を無理やり作った。


「いらっしゃいませ…お一人様ですか?」


男は片眉を上げた。

まるで「それだけか?」とでも言いたげな表情だった。


「それだけ? あれだけの時が経ったのに…それだけ?」


その言葉が空気を震わせた。

近くのテーブルを担当していたユイとリカが同時に顔を上げた。

互いに目を見合わせる。


「ミハル、あの人知り合い?」

リカが小さな声でユイに尋ねた。


「…たぶんね」

ユイは目を細めて、二人の様子をじっと見ていた。


ミハルは動揺を隠しながらも、内心では心臓が暴れていた。

それでも態度は変えず、静かに言った。


「どうぞ、お席へ」


男はゆっくりと歩み寄りながら、ミハルから目を逸らさなかった。

そして、店内の空気は目に見えない緊張に包まれていった。

他の客たちも、何か特別な空気を感じ取っていた。

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