影と告白
ようやくレストランに戻った時には、彼女たちはすでに変身を解いていた。
疲れがその表情ににじみ出ており、空気には重い沈黙が漂っていた。
リリィはカウンターの奥に立っていた。腕を組み、落ち着いた表情で彼女たちを迎える。
「よくやったわ」
その声は凛としていた。
「でも、勘違いしないで。その男はもう、今日みたいに無防備ではいられないわ。今、自分が狙われてるって理解した。これからはもっと用心深くなるでしょう。」
椅子に崩れるように座ったユイが、深く息を吐く。
「チッ……それじゃ、もっと厄介になるな。」
「現実的になる、ってことよ。」
リリィが訂正する。
「敵は同じ姿で二度は現れないわ。」
その時、ミハルがミツキの手を引いて入ってきた。
ミツキは笑顔でリカに駆け寄る。
「リカちゃん、すっごかったよ! まるでヒロインみたいだった!」
リカは顔を赤らめながら頭を掻く。
「えへ…ありがとう。でもね、ミツキ、大事な話があるの。」
リリィが近づき、真剣な表情になる。
「これはとても重要なことよ。今日見たことは、絶対に口外してはいけない。Radiant☆Magical Warriorの正体を守るのは、ルールというよりも掟なの。」
ミツキは目をぱちぱちさせる。
「掟…?」
リリィは優しく頷き、彼女の目線に合わせてしゃがむ。
「たとえそれがママでも、親友でも、学校で仲の良い子でも、誰にも言っちゃだめ。絶対に。」
ミツキは視線を落とし、少し不安そうな声で聞く。
「でも……もし誰かに聞かれたら?」
リリィは彼女の頭を撫でながら答える。
「その時は、にっこり笑って、何も言わなければいいの。
彼女たちが戦えるのは、誰にも知られていないからこそなのよ。」
ミハルは、強く頷いた。
「約束する。私にできることは全部やるわ。彼女たちを…そしてミツキも守るために。」
リカは安堵の笑みを浮かべた。
「ありがとう、ミハル。」
ユイは腕を組みながら、そっぽを向いたまま口を開く。
「……そうだな。ありがとな。これで、もうみんな巻き込まれてる。」
リリィはゆっくり立ち上がり、いつもの優雅な仕草で言った。
「そう。ここから先は……もう後戻りはできないわ。」
数秒の静寂が場を包んだ。
ミツキでさえ、その純粋な心で悟った。
今ここにあるのは――単なる“秘密”ではなく、もっと大きな、命を懸けた何かだと。
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