雑用係と艦長の奇跡の融合
エリカ「ねえ。みてみてー。ヨシキー。」
ここは、西京大学研究室。ある物質の研究をしていた。「プロフォール」近未来のエネルギー資源だ。
エリカは遠心分離器に試験管をかけた血液物質を、解析。パソコンの画面を見ている。
エリカ「私の血液から「プロフォール」でてるよ!!」
ヨシキは身を乗り出して、パソコンの画面を見る。確かにプロフォールが出ていた。
ヨシキ「やったね!!やっぱりプロフォールは実在したんだ!!」
今まで、何組の男女の血液を採取し、血液データを二人は分析していた。色々考察した結果、親密度が高い男女のカップル程「プロフォール」の含有値が高いことが分かった。
ヨシキ「エリカ。ふたりで頑張って研究したかいがあったね...............」
白衣を着たエリカが笑顔でうなずいた。周りの景色も白衣と同じく白くなる。
クルセイダーズ、指令室。中枢。黒いヘルメットとサングラスをかけながら窓辺に立つヨシキ
ヨシキ「エリカ...............これで...............よかったんだよな...............」
ヨシキは、机に座る。パソコンの画面で、研究論文の文章を打っていた。
「ときめき物質を体の中から消す、クルセイド生成について」
ヨシキは、もはやときめきそのものを憎むようになり、ときめきのメカニズムを徹底的に研究。
ある物質にたどり着いた。
そして、それにより、それを打ち消すのには「クルセイド」という物質を発見した。
ヨシキ「今までのときめき艦隊は物理攻撃で対処できた。project MADOKAは手ごわい。」
クルセイドはまだ試験段階だ。使うことができない...............。
ヨシキ「エリカ...............もうすぐだよ...............。」
「プロフォール」をさんざん利用してきた世界への。ヨシキの復讐が少しづつ始まろうとしている。
恭二は艦内の図書室にいた。
雑用として戦艦内の掃除を頼まれていたのだが、さぼって来た。あることを調べたかったからだ。
恭二「...............ときめきを感じて身体から何かを発する現象...............確かそんな論文が...............あっ!!あった...............」
恭二は過去の論文を引っ張り出した。
そこをめくるとある論文に目が止まる。
...............「ときめきにより、身体の中の血液から採取される、プロフォールという物質の研究成果について」...............
恭二は真剣に読んでいた。今から27年前に発表されていた論文...............そこに、二人の名前が並んでいた...............
恭二「...............ヨシキ...............エリカ...............」
ヨシキとエリカと他研究者による共同論文だったらしい。
しかも、この『プロフォール』という物質が、実は当たり前のようにこの世界では使われていた。
先日、世界にてある会議が行われていた。エネルギー資源が枯渇していると...............その代替物として注目された物質があった。
...............「プロフォール」...............
燃やしても、廃棄しても有害物質も出ないこの物質を
石油の代わりに使おうと、政府は提案。承認し、
今では、エネルギーとして、
当たり前のように使っている物質だった。
恭二「二人はプロフォールの研究者だったのか...............
それをときめきが...............」
真剣に文献を読んでいると、横からいきなり抱きつかれた。
まどか「あー。恭二!!こんなところでさぼっていけないんだー」
まどかは明るく言う。恭二は急に頭の回転がとまる。
恭二「お前は艦長だろ...............こんなところで何してるんだ...............」
まどかは、頬を染めながら明るく言う。
まどか「だって艦長、書類にハンコおしてばっかりで暇なんだもん。...............それでね。戦術航空攻撃隊長のユウタくんに聞いたの?恭二はどこにいるの?ってそしたら、
今雑用で艦内の掃除やってるって聞いて、
そのまま来たら、図書室入ってるのが
見えたから来ちゃった。」
恭二は呆れる...............これが...............艦長なのか...............
まどかは、恭二が見ている文献にふと目が留まった。
まどか「
恭二?何見ているの?これは、プロフォール...............」
まどかはこう見えてIQ値が300。
こんなもの見られたらたちまち読み解かれて大変なことになる!!
まどかを巻き込むわけにいかない!!恭二は慌ててしまう。
恭二「なんでもないんだ!!。
そうだまどか。GODIVA風のチョコレート作ってあげるよ。ハート型の。一緒に食べようか...............」
まどかは万歳して喜ぶ。
まどか「え!!ホント!!やったー。恭二のチョコレート大好きー」
恭二は胸をなでおろす...............ふぅ。よかった...............
文献の紙が、床に落ちた、その続きには、こう書いてあった。
「男女のときめきの物質が脳に影響を与えることで、
血液中にプロフォールという物質が増加することを
研究で発見した。私は、二人の男女の血液データをもとにその物質の研究を進めることにした。」
戦術航空攻撃隊長のユウタは悩んでいた。
ユウタ「クルセイダーズの攻撃は増すばかり、現在の状況じゃあ人材不足だな...............誰でもいいから人材を補強しなければ...............」
すると甲板内をモップで一生懸命拭き掃除をする男を発見。
ユウタ「...............あれは雑用係の艦長の夫の...............確か恭二という男だよな...............」
ユウタは近づき、話しかける。
ユウタ「君は確か恭二君だよな。艦長の旦那さんの..........」
世界一のアイドルをめとっている恭二。ユウタは少しうらやましそうな目で見ている。
恭二「ああ。そうだけど...............」
話は聞きながら、恭二はモップがけを続けていた。
ユウタ「実は、シャークマシンの乗組員の人材が不足しているんです。恭二さん...............よければ乗りませんか」
モップ掛けの手が止まる。
恭二「え?まじ!!」
ユウタ「はい。」
恭二はガッツポーズする。ようやく雑用地獄から抜けられるからだ!!。
恭二「やったーーー!!これで、雑用しなくて済むぜ!!しかもあこがれのシャークマシン!!それのパイロット!!フフ。腕が鳴るぜーー!!」
体調の腕を取り、ぶんぶん振り回す恭二。体調も困惑する。大丈夫だろうかと思うが、人材不足の折仕方ない。
ユウタ「じゃあ。採用します。ただし乗れればですが...............」
恭二「へ?」
ユウタと恭二は、シャークマシンのある格納庫に向かった。
格納庫に到着する二人。恭二はテンションMAX!!
恭二「おお。シャークマシンじゃん!!すげえ!!かっこいい!!」
今まで写真でしか見たことのないマシンが、目の前にあり興奮する恭二。ユウタは落ち着いて話す。
ユウタ「シャークマシンは、パイロットとマシンが同期しないと乗れないシステムになっています。シャークマシン内にあるグング二ウムという物質と体内のホルモンであるアドレナリンが反応しないと乗れないことになっていて...............」
恭二は耳に話が届いていない。
恭二はさっそく乗り込んだ。ユウタも外で、シャークマシンと恭二を同期させようと機械を操作する。
恭二「よし!!これで俺も、シャークマシンのパイロットだぜ!!」その時だった!!目の前が赤くなる。
シャークマシンが恭二を拒否。
「エラー203:このパイロットのアドレナリンと同期できませんでした。詳しくはヘルプを...............」
ユウタは困惑する。何度やっても出てくるエラーメッセージ。
その格納庫を点検にひときわアイドルのオーラをまとった女性が通りがかる...............艦長...............まどかだ...............
まどか「今日もシャークマシン異常なし...............
ってああ!!恭二!!」
目がハートマークになる艦長。すぐさま駆け寄る。
まどか「恭二。シャークマシンのって戦うの!!
かっこいい!!私も一緒に乗りたい!!」
恭二「お前は艦長だろ!!ちゃんとみんなの指示を出さないといけないお前が前線に出るなんて...............」
そんなことを言っているときにはコックピットに乗っていた。すると機械が反応した。
「システムオールグリーン。グング二ウム同期完了。
いつでも発射できます!!」
恭二「...............は?...............」
ユウタも混乱...............
ユウタ「どうも。まどかさんのグング二ウム値が異常に高いようです。一方恭二さんはほぼ0。だから2人じゃないと乗れないようです。困りましたね...............」
え?どういうこと?艦長と二人で乗るの?
恭二は混乱するが、まどかは大喜び。
まどか「え?恭二と二人でシャークマシン乗れるの?
やったー嬉しい!!」
大喜びのまどか...............前線に出るのに喜ぶ艦長。
恭二は咎めるように言う。
恭二「お前。シャークマシンに乗るってことは前線に出るんだぞ!!死ぬかもしれないのに!!」
本気の顔で起こる恭二。少し驚いた顔をしたが、まどかは落ち着いていった。
まどか「心配してくれてありがとう恭二。
でも死ぬときも二人よ。あなたとだったら...............
死ぬ気で乗りこなして見せるわ...............」
その目はもはやアイドルではない。
立派な戦場の女の目になっていた。
アイドルとはいえ艦長を務めたことで少しは貫禄が出たらしい...............恭二は笑いながら言う。
恭二「ふふっ。世話が焼ける妻だよ。
まどかは...............だけど、その覚悟の顔。
いい女を嫁にもらえて俺は幸せだ。」
恭二はユウタに覚悟を決めて告げた。
恭二「ユウタ。シャークマシンは俺とまどか二人乗りにするわ。」
ユウタはうなずいた。まどかは恭二にウィンクしながら言う。
まどか「じゃあ。これ、二人乗り用にしないとねっ」
恭二は照れて赤くなる。艦長と恭二が乗るシャークマシン。
これにより、この戦局は大きく変わることになるのだった。
クルセイダー軍の統括本部長、よしおは言う。
よしお「project madokaのから捕虜としてこの男を連れてきました。」
その男は、両手を縛られ、身動きできなかった。
ヨシキはお礼も言わずに、ある物質を注射器で注入し始めた。
...............「クルセイド」...............
その男は、最初は抵抗したが、注射したとたんに、顔に表情がなくなる。
ヨシキはその男に、ラブコメ漫画を読ませていた。
最初は、少年誌から始めて青年誌へと刺激を強めていった。
男「...............」
男は何も反応しなくなった。そして、部屋のドアが勢いよく開けられ報告される。
「男の血液反応出ました。テストステロン、アドレナリンともに0。プロフォールはマイナスに反転しました。」男性ホルモンがなければ、ときめきも起らない。
つまりヨシキの発見した「クルセイド」で、ときめきを封じることに成功した。
しかもプロフォールがマイナス。
ヨシキ「これは...............想像以上だ...............」男は冷たく笑った。
ヨシキ「はじまるよ...............エリカ...............」男は俯いてその場でつぶやいた。