①プロローグ
私はゲームが好きだった。可愛いキャラクターと世界を冒険したり、バトルしたり、ペンキを塗ったり、牧場のお世話をしたり。色んなゲームをやってきたと思う。
でもそんな私でもその一つ一つの作品を最後までクリアしたことがなかった。私は飽き性だったのだ。
そんななかゲーム制作会社のホームページを巡回し、最新ゲーム情報を漁ってた日に一目惚れした新作のゲーム、それが初めての乙女ゲームだった。
私はその乙女ゲームのキャラクターデザインと世界観に惹かれ、発売日に即購入。
学校やバイトが終わった後にすぐやり込んだ。めっちゃプレイした。
そして初めて一つの作品のエンドロールをみることができたのだ。
その作品の名は『光と闇とセブンス』
光はヒロイン、セブンスは攻略対象。闇はストーリーで重要となる。
飽き性の私が最後までプレイできたのキャラクター達のビジュアルが完璧だったから。
私の推しは悪役令嬢だけど攻略対象もカッコよくてその中でも公爵令息とのカップリング推しだった。
悪役令嬢の婚約者の第一王子がヒロインと出会い、徐々に惹かれて悪役令嬢と婚約破棄。
よくあるパターンでしかない…だけど悪役令嬢が幸せになる道はないのか?と寝る直前にも真剣に考えて、頭の中で彼女を幸せにする。そんな妄想をしながら寝る毎日だった。
ヒロインも攻略対象も好きだった。だからこそ憎めなかった。
もし私が物語の人物だったなら、私が最初に彼女を笑顔にしたい。
もしこの願いが叶うのならば、彼女の笑顔を私だけが独り占めしたい。
作中で1人虚しく死んでいく彼女の死ぬ直前だけに見れる彼女の笑顔。
その笑顔を見るたびに私は画面を涙で濡らしてばかりだった。