小さな足跡
ちょっと不思議な物語です。
「トカゲの足跡を見たことがあるかい?」
喫茶店でコーヒーを飲んでいるといきなりそう問われた。
何かと思い声のする方に視線を移すと、そこには2匹の猫が仲良くひとつの椅子上に座っていた。
「……たった今トカゲの足跡より珍しいものに巡り会えたわ。」
「それは僕たちの事かい?」
「……そうね。」
「変な人間だなぁ。猫なんて喋って当然じゃないか」
「君君!喋れない猫だっているにはいるんだから気を使ってあげないと可哀想だよ!」
「一般的に喋る猫と喋らない猫、どっちが多いかって話をしているんだ!君はすぐそうやって揚げ足をとろうとする!」
「そんな事しないさ!ただ物事は色んな匂いを嗅ぎ分けないといけないんだ!」
「……コホン!」
2匹の動きが止まる
「それで、あたしに何か用かしら?」
「そうさ!」
「そうだった!」
「トカゲの足跡を見たことはあるかい?」
「トカゲってあのトカゲ?」
「そう!あのトカゲ!」
「最近増えているんだ。トカゲの足跡が。」
「トカゲなんてその辺にいるんだし足跡ぐらいあるんじゃない?」
「じゃあ、トカゲの足跡を見たことがあるかい?」
「確かに……。でもそれが増えたからって何か問題あるの?」
「あるさ!」
「おおありさ!」
「あいつの足跡からは煙が出ちゃうんだ」
「……けむり?」
「そうさ!」
「けむりさ!」
「その煙はね、嫌な匂いがするんだ!」
「……嫌な匂い?」
「ローズマリー、レモングラス、タンジー!」
「ハッカ、ラベンダー、マリーゴールド!」
「セージ、ベルガモット、ペパーミント!」
「あら?どれも素敵なハーブじゃない?」
「そりゃ人間は好きかもしれないけど」
「僕たち猫からしたらたまったもんじゃない!」
「じゃあコレは気に入ってくれるかしら」
内ポケットにしまったコルクでしっかり封のされた試験管を取り出す
キュポンっという音と共に栓が空く
「こ、この匂い!」
「マタタビかい!?」
「そう!猫さんたちはこれが大好きなんでしょ??」
そう言うとテーブルの上に粉状のそれを振りかける
2匹がトロリとした目で体をテーブルに擦り付けている様を横目に立ち上がり喫茶店を後にした。
ちらりと見えた首筋に、1匹の黒いトカゲを携えて。
解説
トカゲは女のペット!いい匂いだから!
猫はハーブが嫌い!
ちょっと不思議な世界。
女は多分魔術師。でも悪い事とかしてない。嘘を言えない制約がある。
猫1
理屈屋
猫2
理屈をこねるのが好き
女
街の隅っこで時計屋さんしながら魔術師品をそっち向けの人に売ってる。
おばあちゃんに育てられた。家は持ち家。タンスをずらすと階段とか出てくる。
多分みんなで暮らす。
黒トカゲ
ノーマルレア
自然な香水って感じ。
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@TakeharuD