テープ
こんにちは
テープ
彼女「これ回ってるの?」
僕「うん。」
彼女「何で?」
僕「記録..」
彼女「ふーん何の?」
僕「僕が、この部屋にいた証拠として..。」
しばらく沈黙が続く。
彼女「でも、喋ってるのは私じゃん。」
僕「そうだね..それでいい。君は、そのまま話し続けて」
彼女「いや、私だけ喋るのはつまらない。
貴方も、何か話して。」
僕「そうだな.."君"て言うのもなぁ、
まず"名前"を教えて。?」
彼女「それは絶対いや。」
僕「何で?」
彼女「嫌なものは嫌!」
僕「そうか..まぁいいや。」
僕「君の事について教えてくれ
生まれは?家族は?」
彼女「場所は言えないけど、ひどい所よ..
家族も、私と姉•妹だけよ。母親も父親も私が12歳の時、離婚してそのまま両親別々で、その後は行方知れず。幸い私達の事を母親の妹、つまり伯母が引き取ってくれたから、何とか今日まで生きてこれたわ..。」
"ジィィ"-(テープのすれる音)
彼女「私は、話したわ。次は貴方の事聞かせて。生まれは?家族は?好きな曲は?」
僕「僕の話しは、いいよ。」
彼女「私だけじゃない、じゃ好き動物は?」
僕「好きな動物か、そうだな猫とでも言っておこう。」
彼女「なぜネコなの?」
僕「ネコの目には全てを見通すと言われているから。」
彼女「へぇー凄いのね、ネコって。」
僕「そう、凄いんだよ..。」
しばらくまた、沈黙が続く。
僕「今日は、ありがとう。」
彼女「もういいの? 何か..短かったわね。
まぁいいわ、じゃね。」
ーー彼女は部屋を出た。ーー
僕は、ため息をついた。緊張していたせいか
全身に力が入り、なかなか解けなかった。
僕「何とか、死なずにすんだ。」
僕は、録音したテープを音響室へと持って行き。
これを、再生•停止と、これをあと、13回
再生•停止、再生•停止、再生•停止...
13回終わったら次は、逆再生で、
同じく13回、逆再生•停止 、逆再生•停止、
逆再生•停止
「ほら、聞こえてくるだろ、彼女の声とは
違う別の声が.」
気性激しい男の声で。
「そいつを殺せ、首を切り裂け、」
「腸を引きずり出せ。」
「俺に殺らせろ。殺れ殺れ殺れ」と..
僕「そうこれが、彼女に取り憑いてる"者"だ。
だが彼女は、まだ気づいていない。」
僕「そう僕は、こう言う人達と話しをし、
録音
そして逆再生したテープを再度録音し、
祓い屋に渡す。これが僕の仕事。」
終
ありがとう