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私がこれ以上なにも聞きたくないことを察してたのかしばらく沈黙が続いた。
すると夏帆のお母さんが私の手を握り「さくらちゃんよく聞いて」とゆっくりとした口調でそう言った。まるで私を宥め出すように。
でも私はなにも聞きたくなかった。夏帆がどうなるのかを知るのが怖かった。だから首を横に振った。
そんな私を見た夏帆のお母さんは何も言わずに握ってた手をより強く、ぎゅっと握った。
その瞬間ここからは逃げれないのだと察して、まるで小さい子供がいじけているかのように私は顔を下に向けていた。
夏帆のお母さんはそのまま手を握ったまま、淡々と「さくらちゃん、簡潔に言うね…夏帆はもう目を覚さないかもしれない…」
夏帆のお母さんは言葉を言い終わる頃には肩を振るわせながら泣いていた。
私はこの状況で「そうですか。」としか言えなかった。心では癇癪をおこしているように悲しいとか寂しい、なんなら怒りという様々な感情がぐちゃぐちゃになっているなか頭はひどく冷静でむしろなにも考えていなかった。