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第61話 過去を振り返る

国王と王妃が揃って暗い顔でため息を吐いたり新たな王太子のことを話している頃、王太子の座を失った第一王子ガンマは自室で軟禁されていた。



「くそ! くそ! くそっ! 何でこんなことになるんだよ! 畜生!」



軟禁された自室でガンマはヤケを起こして暴れまわっていた。何しろ、両親である国王と王妃から『卒業したら王籍から排除のち男爵になる』と聞かされて納得できずにその場で喚きながら暴れまわったのだ。衛兵に羽交い締めにされて、止められて軟禁されても仕方がない。自室だというだけでもありがたいことだが、ガンマはそんな事を気にすることはない。



「どうしてこんなことに、畜生!」



己の部屋がボロボロになるのも構わず、ガンマは暴れ続けた。やがて落ち着いて動きを止めるが、今度はうなだれ続けるのであった。



「……どうして、どうしてこの僕が……こんな……」



ガンマは涙さえ浮かべた。そして、何故こんな事になったのかと己の過去を振り返る。



幼い頃に王太子になると言われて公爵令嬢ミロア・レトスノムと婚約させられた。その際は強制的で反論を許されなかったために強い不満をいだいた。しかも、婚約者となったミロアの方はガンマの好きなタイプの少女ではなかったのに、ミロアの方は目に見えるくらいに恋愛感情を抱いてきたのだからたまったものではなかった。



自分は反感を抱いているのに周囲だけが満足している。それが気に入らなかったガンマは、せめてもの抵抗として少しばかり無茶な要求をミロアに突きつけたりもした。勉学の宿題を代わりにさせたり、自分が遊ぶ時間を作るため彼女に周囲の大人を引きつけさせたり、欲しい玩具や本の代金を支払わさせたり、自分の代わりに叱られるように仕向けたりと嫌がらせに近い要求を数多く。



それでも好意を向けてくるミロアにガンマは気味の悪さを覚え始め、やがて要求するのを止めてできる限り近寄らないようにするのだった。ミロアと顔を合わせないように王宮に留まることが多くなったのだが、それだと自身の行動が制限されるため、暇つぶしも兼ねてメイドに関係を求め始めた。だが国王にバレて厳しく咎められて未遂に終わった。



そして、学園で運命の出会いではないかと思うほどの女性に出会って仲良くなった。それがミーヤ・ウォーム男爵令嬢であり、彼女と一緒にいるだけで心が癒やされる思いだった。それは二人の側近たちも同じ思いであったと信じている。



しかし、その癒やされる日常は長くは続かなかった。ミロアが嫉妬してミーヤに絡んで来たと知ってすぐさま駆けつけて、その際に怒りに任せてミロアに長年の鬱憤を込めて暴言を吐き捨てた挙げ句に突き飛ばして床に転がしてしまったのだ。



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