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第56.2話 最初に命じられた仕事

(『陰』視点)



小生はミロア・レトスノム公爵令嬢の専属騎士ゴウル・アンディード。嘗ては『陰』として裏方の役割を担っていた男だ。今は騎士としてミロアお嬢さまのもとで働いていく。騎士としての腕前ならば並の騎士よりも上回ると自負しているため、専属騎士としての役割もこなしていけるはずなのだ。



だからこそ、ミロアお嬢様に最初に命じられたのが学園の情報収集だと聞かされた時は驚かされたものだ。まさかの裏方のような仕事を命じられたのだから。



「ゴウルは学園の教師の方に知り合いがいるとエイルから聞いています。その方を通じてどうにか学園の情報……ガンマ殿下の周囲の主要人物の動きを探ってほしいの。お願いできる?」



小生に学園の教師の知り合い? そんな者は……いや、そういう設定なのか。



「承知しました。可能な限り情報をいただくよう交渉してきまする。ただ、小生の口から知り合いがどのような人物なのか口に出せませぬ。私情ではあるのですが、それだけは今はお許しください」


「ええ、分かったわ。気にはなるけど、学園のあり方を考えると分かる気がするから許すわ」


「かたじけのうございます」



ミロアお嬢様はお優しいお方だ。いや、小生の出自を知っておられるからなのだろうか? 何しろ『彼女』を侍女にしているような方なのだ。『陰』のことをすでに知っておられるのではと思ってしまう。余計な詮索はしないが。



「ゴウルさん。あとで時間をいただける? 『昔話』もしたいので」


「……承知しました」



笑顔で『彼女』は小生に合図をする。二人で詳しい設定を取り決めるのだろう。何しろ学園の情報、特定の生徒の個人情報を手に入れなければならないのだ。全てはミロアお嬢様のために。





専属騎士として小生に与えられた個室。防音対策を徹底された地下室であり、厳重なロックも施されている。人に聞かれたくない話をするにふさわしい。そんな小生の部屋に今、短めの金髪に碧眼でそばかすがあるが整った顔の女性がいる。小生が入る前に『彼女』はいたのだ。



「……久しいわね。今の名はゴウル・アンディードだっけ?」


「さようです。先輩」



『彼女』はお嬢様の侍女のエイル・ロウドだ。だが、今でこそ優秀な侍女ということになっているが彼女はミロアお嬢様が生まれる以前から当主様に仕えていた『陰』の一人なのだ。

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