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第56話 貴族の子供達が通う学園

スマートブレイブ学園。それがミロア達のような貴族の子供達が通う学園だ。数十年前の戦争の後に建て直された学園であり、戦争の反省を考えて造られているらしい。反省というのは、それ以前にあった学園のことを鑑みてのことである。



戦争時にあった学園のことは、留学生と偽って送り込まれた間者のせいで敵国に内部情報が露見し、挙げ句には学園そのものを破壊されてしまったという過去があるのだ。その反省を踏まえて、侵入者や間者への防犯対策を強化して建て直されたのだ。しかも、決して他国の留学生を受け入れないという。



(……そんな学園にうちの家の間者を忍び込ませるのは無理だと考えたほうがいい。下手をすればこちらが不利になるだけか。こういうのは直属のスパイみたいなのを送り込めるものなんだけどね。流石にそこまで物語みたいなことはないか………)



前世の知識は便利だが、その全てをうまく利用できるとは限らない。そう思い悩むミロアの顔色は優れなくなるばかり。黙って見守っていた侍女のエイルも心配になってきた。



「お嬢様、また考え事ですか?」


「え、あ、そうね。何とか学園の情報がほしいと思ったんだけどね………」


「学園の情報? それならゴウルさんに頼んでみませんか?」


「え?」



思わぬ提案にミロアは首を傾げる。エイルの言っているのはゴウル・アンディード、ミロアを護衛する二人目の専属騎士のことだ。灰色の髪で黒目の地味で目立たない容姿の騎士の男でミロアもつい先日知ったばかりなのだ。そんな男にどうして学園の情報を頼めばという話になるのかミロアはよく分からない。



「あ~、ちょっと説明が難しいのですが……実を言うとゴウルさんは情報収集には長けているというか、学園の教師に知り合いがいるのですよ」


「え? そうなの?」


「知り合いと言っても、ちょっと因縁がある人がいて……その人と交渉できれば学園の情報が手に入れられるかもしれません。可能性は半々ぐらいですけど……」


「半々か……」



意外な抜け道があった。教師を使っての情報収集は流石に思いつかない。だが、過去に情報漏れが起こったせいで悲惨なことがあった事を知る教師からそううまく情報が得られるのは難しいのではないかとミロアは思う。何よりもゴウルとはまだそこまで強い信頼関係を築いていない。



(……何だか微妙な手段だけど、オルフェに無理をしてもらうよりはいいかな。それに知り合いを通してなら間者を送るよりも危険はない。でも、つい最近知り合った人だしね……)


「ミロアお嬢様。ゴウルさんに任せていただけないでしょうか? 私個人としてはゴウルさんと旧知の仲なので大丈夫だと思っているのです」


「エイル……そうなんだ。そこまで言うのなら、ちょっと聞いてみようかしら」



真剣な顔でゴウルを信頼できるというエイルの言葉を信じて、ミロアはゴウルに学園の情報、特に主要人物の情報収集を頼んでみることにした。そして、結果的には大変助かることになるのだった。

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