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第8話 今後の生き方

「お前とガンマ殿下の婚約は王家から打診されたことだ。目的は我が国で唯一の公爵家となった我が家の後ろ盾がほしいのだろうな」


「後ろ盾……それなら侯爵家ならいくつかあるではありませんか」


「それらは戦争の後で侯爵に引き上げられた家に過ぎん。王家は戦前から力のある家との関係を強固にしたいのだろう。だからこそ我が家に白羽の矢が立ったのだ」



ドープアント王国はミロアが生まれる以前に戦争をしていて、結果的に敗戦国となった。その際に権力・発言力のある家がいくつか滅び、公爵家はレトスノム家だけになっていた。



「王家は求心力を求めているわけですね。私達の政略結婚はそこから始まった」


「そうだ。敗戦国になってしまった責任は大きい。王家はそこに負い目があるゆえに力のある家から婚約者を選びたい。消去法で我が公爵家しか選べなかったわけだ。我が家から婚約の解消を申し出ても正当な理由がない限り難しいだろう。王家の事情からすれば、我が家との縁を結べなくなるのは……」


「王家の求心力が下がる理由にされるかもしれない。というわけですね」


「そういうことだな。……面倒なことだ」



バーグはため息を吐いた。王家を相手に婚約解消を申し出ることの重さがよく分かっているからだ。いくら公爵家と言えど、王家に対し不敬だと言われるのは目に見えている。だが、バーグは娘のためにも何もしないという選択を取るつもりはなかった。



「しかし、私は建国以来続くレトスノム家の当主としての意地がある。お前のためにも王家に婚約解消を申し出よう。すでにそれだけの理由ならあるしな」


「私に対する暴力行為ですね」


「ああ、暴言だけならまだしも暴力は許さん。何なら王家に抗議してやる」



むしろ、王家を相手に抗議をするつもりのようだった。



「お父様、あまり無理をしないでくださいね」


「構わんさ、このくらいさせてくれ。むしろお前のほうが長く無理をしてきたのだろう。もう少し休んでいなさい」


「……そうですね。お任せしますわ」



バーグの言うことはもっともだ。ミロアは自殺するつもりで窓から飛び降りている身だ。しかも3日も寝込んでいるのだから、もう少し休んだほうがいいと思われるに違いない。



「……本当に優しいお父さんね。でも、あの王子を輩出するあたりからして、一度申し出たくらいじゃ婚約解消はしてくれないでしょうね」



前世の知識では、王家が面倒くさい相手だった場合は婚約解消・破棄などを渋る傾向がある。ドープアント王家もその様になるに違いないとミロアは思っている。



「長い戦いになるかもだけど、今の私は今までのようにはいかない。こうなったら何が何でも悪役令嬢になんかならないんだから」



ミロアは父のため、そして自分のためにも今後の生き方を変えていこうと決意した。


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