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第49.4話 賊の少年の剣

(公爵視点)



馬車の窓から見てみると、叫び声の当人は賊の一人。それも少年のようだが、その太刀筋は素人のようには見えなかった。むしろ中々の玄人。そして残った賊もその少年一人だけになっている。だが、私はそんなことよりも彼の剣の構え方が気になった。



「っ! あの構えは、我が王国の騎士の構えではないか」



国の違いで騎士の流派も違ってくる。勿論、その剣の構え等も当然違ってくるはずだ。だからこそ私は目を疑ったのだ。最後に残った賊の少年の剣の構えがドープアント王国の騎士の構えであることが。しかも、その太刀筋が私のよく知る男の太刀筋と非常によく似ているものであるということが。



「まさかとは思うが……あいつの?」



私は嫌でも悪い予想をしてしまう。あの太刀筋を見てしまったことで首謀者の候補が増えてしまったのだ。ただ、流石にそれはないとは思う。あいつの息子は脳筋だと調べで分かっているし、こんな無謀なことをするとは思いたくない。しかし、あの少年の太刀筋を見るに無関係とも思えない。



だから、剣に聞くことに決めた。



「せっかくだ。是非手合わせをしてみようではないか」



私は剣を手にとって馬車を降りた。当然、周りの騎士たちが驚いたり困惑したりする。



「旦那様! 馬車にお戻りください!」


「まだ戦いが終わったわけではありませぬ!」



彼らの反応は尤もだ。駆け寄ってきて馬車に戻るのを促すのは正しい行為だ。むしろ私の行動こそが問題視されるべきなのは私自身がよくわかっている。それでも私は試さずにはいられなかったのだ。賊の正体、そして黒幕が誰なのか。



「安心しろ。まあまあな実力者であれば私一人で倒せる。その間に諸君らは賊を縛り上げろ」


「し、しかし……」


「私の実力を知っているだろう? 心配ならば見守っているがいい。……それに私自身が暴きたいというのもあるのだ。願わくば予想が外れてほしいものだがな……」


「旦那様……」



私の顔を見た部下たちがやれやれという顔で倒れた賊たちを縛り上げに行く。見守るものは二人だけなのは私に非があるのだから仕方がないとして……少年が私を見るやいなや、こっちに向かってきた。



「れ、レトスノム公爵! 俺と一対一で勝負しろ!」



……こんな状況で一対一で勝負しろか。色々と言いたいことが浮かぶが、私にとっても好都合だ。それに面白そうなので高らかに宣言してやろう。



「いいだろう。受けて立とう。さあ、かかってくるがいい!」


「うおおおおおおおおおおお!」




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