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第47話 頼み

あの頃のミロアはガンマに対する恋愛感情を暴走させていた。第三者から見れば明らかにおかしな女だったミロアに対して、ローイ・ミュドは心配するような声をかけてきたのだ。



(思い出すのも心苦しい……まさに黒歴史……そんな私にあんなことを言い出すなんてよほどのお人好しか、ガンマ殿下を相当嫌っていなければ説明がつかない。それ以外の可能性もあるけど……どちらにしても私のことを口にすれば力になってくれるかもしれないわね)



ミロアの知る限り、ローイ・ミュドの行動には正義感があるように見える。ミロアはガンマの元婚約者だっただけに側近の行動も目にしてきたのだ。他の二人の側近とは違って真面目にガンマを諌めたり、間違ったことを正そうとしたりするローイ・ミュドの姿もガンマの次くらいにミロアは見ていた。



(他の側近とも仲が悪いと聞いているし、少し協力してもらうくらいは問題ないはずだし……尤も、こんな提案はダメ元だけどね。オルフェには早まったことをして面倒な状況にしてほしくもないし)



ミロアがローイ・ミュドのことを口にしたのは、オルフェの行動を抑えるためだった。オルフェに二重スパイの真似事をしてもらうよりも大人しくしてもらったほうがいいかもしれないとミロアは思う。何しろ、後ろめたい思いに耐えきれずにミロアに自身の立場を話してしまうオルフェなのだ。とてもスパイの真似事をさせられない。



「……う〜ん、まあ確かに自分から王太子の側近を辞める人だし頼めば力になってくれるかな?」


「そうよね。不安なら私が学園に復帰するまで何もしないというのもありだと思うわ。ガンマ殿下とあの側近たちのことだからその間に問題を起こすかもしれないし、下手にこっちが動く必要もないかも」


「そうか……そういうのもありか……」



下手に動く必要はない。そういうミロアだったが、それではオルフェは何もしなくていいことになるため少し納得できない気がする。



(ミロアは……俺を頼ってくれないのかな? 流石に何もしないわけには……)


「でも、学園で何か重要な何かが起きれば私にも詳細を知らせてくれればいいわ。それくらいは頼まれてくれない?」


「! あ、ああ、勿論だ! 是非、それくらいはさせてくれ!」



オルフェは喜んで頼まれた。頼られないのではと心配していただけあって、ミロアに頼まれたことが本当に嬉しいのだ。この後、ミロアとオルフェは世間話をしたり他愛のない会話を始める。まるで幼馴染の二人に戻ったかのように。



そして、オルフェは翌日からミロアの頼まれた通り学園で起こったことを報告することになるのだが、ミロアの予想を斜め上を行くような内容が報告されていくことになる。


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