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第6話 公爵である父

ミロアが部屋を出た後すぐに、出くわした使用人たちに心配されてしまった。それもそのはず、ミロアは窓から飛び降りた身であり、実際体の所々が痛むのだ。



「お嬢様、お部屋で休んでください」


「旦那様は私どもがお呼びします」


「無理をなさらず、安静にしてください」



しかし、ミロアはすぐに父に会って話をしたかった。ガンマとの婚約を解消するには、公爵である父の力が必要なのだから。



(体中が痛い……。でも、すぐにでもお父様と話さないといけないわ……)



そして、書斎でミロアは壮年の男性と対面する。橙色に近い薄い赤髪をオールバックにし、切れ目の黒眼と貫禄のある顔立ちのこの男性はミロアの父『バーグ・レトスノム』。レトスノム公爵家の現当主だ。



「おお、ミロア! 目が覚めたのだな! 体は大丈夫なのか!?」


「もう何ともないとは言えませんが、私は目が覚めました。ご迷惑をおかけしました……きゃっ」


「良かった……! 本当に良かった!」


「お父様……」


バーグは元気になった娘を抱きしめる。その目はもう涙ぐんでいた。それに気づいたミロアはとても心配かけたのだなと思った。申し訳ないという思いがこみ上げる。前世の記憶がなければ思わなかった気持ちだ。



(お父様……こんなにも私を心配してくれて……それなのに私、飛び降り自殺なんて……親不孝だわ)



ガンマに夢中になっていたミロアは父バーグのことは気に止めようとしなかった。いや、露骨に避けるほど嫌っていたとも言える。それというのも、ミロアの実母は病でこの世を去ったのがきっかけだった。


実母が死んだ時に父は仕事に行っていて死に際を看取ることができなかった。その時に幼いミロアは父を薄情だと思ったのだ。それに拍車をかけたのが父の再婚。幼いミロアの母は実母以外あり得なかったため、ミロアは父が許せなくて嫌うようになってしまったのだ。



(あの頃の私は、母親の次に父親も失ったんだと思ったんだわ。その寂しさを埋めるためにガンマ様に執着するようになって……でも、今はもうそんなふうには思わないわ)



父バーグのことを思い返せばミロアのことをずっと気にかけてくれていた。ガンマとの関係も心配してくれていたのだ。そのことを今思い出したミロアは涙を流し、父を抱きしめ返した。



「お父様、ごめんなさい! 私は、ミロアは、とんでもない迷惑をかけてきました!」


「迷惑などとんでもない! お前が……お前が目を覚ましてくれて本当に良かった!」



前世の記憶の影響は、ミロアの父に対する愛情を取戻した。



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