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第39話 感情の変化

ミロアは学園で起こったことを具体的に話すことにした。細かく調べれば分かることなので、侯爵令息であるオルフェに話してもいいと判断したのだ。オルフェもその気になれば、短時間で知ることができるだろうから。



「――ということなのよ」



ミロアが男爵令嬢に寄り添うガンマに暴言を吐かれながら突き飛ばされて、そのせいで精神的に病んで屋敷に引きこもり、その過程でガンマに愛想を尽かした。その後父である公爵の頼んで王家に婚約解消を申し出てもらったが、国王夫妻と肝心のガンマが婚約解消を拒否。挙げ句には、ガンマが一方的に屋敷にやってきてミロアに文句を言いに来たので追い返した。そして今、公爵が婚約破棄を王家に申し出ているという。



それがミロアの説明だった。



「………そ、そんなことが……あったのか……! なんてことを……あの王子は……!」


「!」



ミロアの説明を聞いたオルフェは震えていた。それは強い激情からくるものだとミロアはその目で見て判断した。その激情とは、赤く染まったオルフェの顔つきと固く握られた拳から『怒り』によるものだと分かる。誰が見ても分かりやすい感情の変化をみせるオルフェをミロアは、まじまじと眺めて思う。



(国の顔といってもいい王族、しかも王太子が女性に暴力と常識外れな行為……まともな思考の上級貴族としてはショックのはずなのでしょう。……とても演技には見えない様子から本気で怒っているんだわ。これでオルフェはガンマ殿下に悪感情を抱いた。まあ、その前から殿下にいい感情を抱いてい無さそうだし……これなら味方に引き込めそう……)



ミロアの推測通り、オルフェは怒りに震えている。ただ、王族にあるまじき行為よりも幼馴染を蔑ろにされたことが許せないのだ。



(ふざけやがってあの王子、婚約者のミロアを他の女をそばに置きながら突き飛ばすなんて残酷なことをよくできるな。しかも、王太子の地位を守るために婚約解消を拒否? ミロアや公爵を馬鹿にしすぎだ。王族の立場を利用して完全に人を舐めてやがる……!)



そして、自分自身にも若干怒りを感じた。



(マーク・アモウはそんなことを一言も言っていなかった……都合が悪いから言わなかったなあの野郎……! つまり俺はそんな王子の側近の小間使いにされてミロアのもとに……くそ! なんて情けないんだ!)


「オルフェ?」



ミロアはオルフェの顔が何やら悔しそうな表情に変わったことに気づいた。



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