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第37話 頭の中

ただ、大げさすぎたのかミロアがポカンとなっていた。



「あ、すまない。驚きすぎた……」


「い、いいのよ、気にしないで……」



二人は冷静に取り繕うが、オルフェの頭の中はミロアのことだけだった。



(まさか、婚約解消になる日が来るなんてな……)



ミロアは公爵令嬢だ。王族に次ぐ力のある公爵家の令嬢との婚姻を結ぶには王族を含めた上級貴族が望ましい。つまり、一応侯爵令息という上級貴族であるオルフェもその範囲内にいるということだ。



(名ばかりとはいえイーノック家は侯爵だ。俺だって……いや、そんなことは関係ない。後はミロアの気持ち次第というわけか。そして、公爵の考えも入るよな……)



ミロアとガンマの婚約は政略結婚、公爵と王家が決めた契約だ。つまり、ミロアとの婚姻も公爵の判断に委ねられるもの。オルフェはそう思っていた。



(これは……俺の捨てた初恋のためだけじゃなく、イーノック家の将来も関わるかもしれないな。二つの意味でチャンスがあるが失敗すれば俺の家は終わるかも……)



自分にも絶好のチャンスが有るが破滅の可能性もある。そんなことを考え始めるオルフェだったが、ミロアの頭の中は自分のことばかり考えていた。



「……オルフェ、言っておくけど本当だからね」


「あ、ああ。俺としたことが動揺しすぎたけど、本当に信じられない。だが、ミロアが言うんなら事実なんだな」


「……うん」



オルフェの反応を見て判断して、ミロアは心の中で少しがっかりした。



(あー、やっぱりオルフェでもそういう反応か………幼馴染のオルフェも私がガンマ殿下に未練があると思われていたか……)



ミロアの視線から、オルフェはとても驚いて動揺しているように見えた。それはつまり、ミロアがガンマに愛想を尽かしたと言われても、オルフェは信じられないということだ。これも予想はしていたが、どうか少し驚くだけでいいか納得という感じな反応をしてほしいとミロアは思っていた。



(オルフェでこれじゃあ学園の令嬢たちも噂を本気で信じないかも……ということは、殿下に迫る令嬢は思ったより少ないかもしれないわね)



ガンマにちょっかいをかけられない学園生活を望むミロアにとっては、ガンマに迫って求婚するか既成事実を作ろうとしてくれる令嬢がいないと困るのだ。

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