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第33.3話 気に食わない

(侯爵令息視点)



詳しい話を聞くとミロアは、男爵令嬢に入れ込んでいるガンマ殿下に愛想を尽かして婚約解消を望んでいると言う。ガンマ殿下と側近の二人が男爵令嬢に入れ込んでいることは知っている。そのことでミロアも嘆いていることも。



最新の噂ではついにミロアが愛想を尽かしたことも聞いたが正直、俺はそんな話だけは信じられなかった。ガンマ殿下との婚約が決まったことを喜ぶミロアの姿やガンマ殿下と一緒に並ぶミロアの姿をよく覚えていたから、彼女の方からガンマ殿下を振るなんて考えられなかった。



ミロアが休学したことも心配していたが、殿下と痴話喧嘩した後だと聞いていたため、すぐに戻ってくると思っていた。ただ、昨日教師からもう少しかかると言われた時は流石に手紙を書こうと思った矢先にこんな話を聞かされるなんて……王太子の側近であるこの男がこんな事を口にするというのなら、噂は真実だったということだ。



「――というわけで、ミロア嬢の幼馴染の貴方にしか頼めないわけですよ」


「…………」



この男、マーク・アモウはミロアの何が知りたい? ガンマ殿下の側近のこいつがミロアのことを俺を通して探る必要が何故ある?



答えはおそらくガンマ殿下の立場の保守だろうな。現在のミロアを知ることで、ガンマ殿下とミロアの婚約を白紙にしない、もしくは結び直すなどの思惑があるんだろうな。ガンマ殿下が失脚するということは、当然その側近の立場もいい目で見られることはない。将来の出世にも関わることなのだろう。



他に理由があるとすれば、ミロアを利用して自分の立場だけでも守ろうとしていることだ。マーク・アモウにはガンマ殿下に対する敬意を感じ取れない。普段は隠しているんだろうが、この男は周りを見下すタイプだ。自分のことだけ考えているような男だと雰囲気で分かる。こんな男がミロアを利用するのは気に食わない。



だからこそ、こいつの話には乗ってやろうと思った。



「いいだろう。喜んでミロアの様子を見て来よう」


「ありがとうございます。いい情報が手に入ったら、将来貴方の出世にも便宜を図りましょう」



……こんな奴に俺の出世のことで便宜を図ってもらおうとは思わん。こいつの性格上、期待できそうにないからな。



それよりもミロアのほうが気になる。もしも、彼女の心にガンマ殿下がいないというのであれば、その時俺は……。

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