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第33話 幼馴染の手紙

ソティーの訓練が終わり、勉学の時間になったミロアは自室に戻る。その直後、侍女のエイルがやってきた。



「お嬢様、イーノック侯爵令息からお手紙がきております」


「え? イーノックって、オルフェから?」


「さようにございます」



オルフェとはイーノック侯爵家の長男で、ミロアの幼馴染のことだ。昔はよく遊んだ仲だが、学園ではミロアがガンマ殿下のことばかり追いかけていたため会う機会が殆どなかった。決して、別のクラスにいるから疎遠になったわけではない。



「気になるわね。手紙を見せて」


「どうぞ」



ミロアはエイルから手紙を受け取るとすぐに中身を確認した。その内容は、休学中のミロアが心配になったから会いたいというものだった。普通、休学中の令嬢のもとに訪問するというのはいいことではない。どうやら手紙の内容からミロアの状況もある程度把握しているらしく、明日か明後日に時間があれば向こうから屋敷に出向いて少し話がしたいのだという。



「私と話がしたい、か……いつぶりかしらね……」


「ミロア様は子供の頃、オルフェ様と仲が良かったですもんね。これを機にもう一度子供の頃のような関係になりたいと会話を望まれたのでしょうか?」


(どうだか……)



エイルは生易しいことを言うがミロアはそんなふうには思わない。もっと貴族らしい思惑があると睨んでいる。たとえば、ガンマ殿下が絡んでいる可能性、もしくは家の都合による可能性だ。



(もし本当に心配してくれているのなら、もっと早く手紙を寄越すはず。しかも、今の私の状況を把握した上で会いたいとなると、ガンマ殿下か側近の手先として行動している可能性があるわね。もしくはガンマ殿下との婚約解消に動いていると知って私に近づこうとしているのかも……私も公爵令嬢だからね)



オルフェのイーノック家は侯爵家。公爵に次ぐ立場のはずだ。今のミロアの状況を調べて何かしらの思惑を抱いている可能性も高い。



(どっちみち、直接会ってみないことには思惑を図ることもできない。まあ、今回は事前に約束しているから余裕を持って準備もできる。私も殿下のときのように振る舞えばいい。いえ、違うわね……)



ミロアは前世の知識を軸にして考える。幼馴染だった男が突然会いに来た時どうすればいいのか、こういうタイミングで現れる幼馴染はどんな人間が妥当なのか……。



(突然会いに来る幼馴染……こういうのは実は運命の相手だったり主人公を助けようとしてくれるものがあるんだけど……実は見栄っ張りだったり自分のために行動しているパターンも有る。そうなると最初は情報を引き出すことが重要よね)



ミロアは決めた。まずは情報を手に入れることを優先することを。


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