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第32.3話 愚か者

(宰相の息子視点)



私の名はマーク・アモウ。伯爵家の息子であるが、我が国の宰相の息子でもあるゆえに、そこらのしがない一般貴族とは背負う重荷が違うのだ。その重荷の一つとして、愚か者の王子の側近という役目を担うことがその一つだ。



「――ということなんだ……」



しかし、その愚か者の王子……ガンマ殿下がここまで愚かだったとは、予想より早く行動に出たものだ。私は呆れてものが言えん。



「つまり、何の約束をしないで突然レトスノム公爵家に訪問した挙げ句、ミロア嬢と面会し、文句を言ったり暴力未遂に及んだと? しかも、ミロア嬢の護衛二人に恐れをなして惨めに逃げ帰ったと?」


「……な、なんてことを」



もう一人の側近、グロン・ギンベスも目を丸くして驚いている。流石のこいつも殿下の常識からずれた行動に呆れているようだ。殿下はこの脳筋のグロンよりも愚かだったということか、グロンは怒りをあらわにするよりも膝から崩れ落ちて嘆きだした。



「もう、終わりだ。俺が騎士団長になる道が閉ざされてしまったじゃねえか」


「す、すまない……」



この二人は何を言っているのだろう。グロンのような武芸しか取り柄がない男が騎士団長になるなどガンマ殿下が王になっても無理だと言うのに。殿下もそう思っていたのだから何故謝る。



「なるほど、それで国王陛下は殿下とミロア嬢の婚約が白紙になるのは避けられないとして、殿下を王太子から外すと決めたのですね。公爵家のパイプを失う原因となった殿下に対する罰としては仕方がないことでしょうね」


「そ、それはそうだが……いくらなんでも酷すぎるだろう……ずっと、王になって国を導けと言われてきたのに、こんな仕打ち……」



……あんなに慕っていたミロア嬢と向き合わずに適当に扱ったツケが来たのだろう。ミロア嬢にも問題があったが的確な命令やら指示を出せばミーヤのような都合のいい女にできたはずなのに、馬鹿なことをしたものだ。



ミロア嬢はミーヤのような癒やしには決してならないが、ミロア嬢の公爵家の力を自由にできる価値を分からないからこんなことになるんだ。



まあ、それも私の計画だけどな。殿下が王太子であろうがなかろうが私にはどうでもいい話なのだから。だが、ここで何も言わないわけにもいかない。殿下にはもっと転落してもらおうじゃないか。



「殿下、これはもう王太子の立場を失うのは免れません。ですが、その立場をもう一度取り戻せばいいのです」


「「え?」」


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