表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

40/247

第30.3話 自分の思い

(王太子視点)



「随分と間抜けな顔になっているな。まあ、会話を記録されていたなんて思わなかっただろうから当然か。流石はレトスノム公爵家の娘といったところか。恋に溺れるだけの娘ではなかったのだな」



……な、何を言っているんだよ父上は? 言っている意味が全くわからない。



「そ、そんな記録なんてデタラメに決まってる……あ、あのミロアがそんなことに頭が回るなんて……」


「これがその記録だそうだ。どう見てもお前が口にしそうな言動がしっかり記録されているぞ」



父上に手渡されたのは、その記録を記した報告書。それを見て僕は愕然とした。



「……な、なんだよこれ……ここまで……」



そこには僕が屋敷に入った後から出ていくまでの言動がほとんど記されていた。本当に記録されていたということだ。僕がミロアに言ったことまで……



「随分とまあしっかり記録されているとは思わんか? お前が私達に叱られたのを人のせいにしたり、ミロア嬢に拳を振り上げようとして老兵に止められたり脅されたり、見てて面白いくらいだったよ。私が国王でなければな」


「……っ!」



な、なんてことをしてくれたんだ! こ、こんな陰湿な仕打ちをするなんてミロアは最悪だ! あんな奴が僕の婚約者だったなんて!



「あのミロア嬢がここまでするとは……よほどお前に愛想を尽かしたのだろうな。まあ、学園で馬鹿みたいに羽目をはずすような男だから、良き選択を取ったわけか」


「な……な……!」



父上の言い方に僕はカチンと来た。何が良き選択だ! 問題があるのはあいつのほうじゃないか! それなのに何で僕だけが悪いみたいに言われなきゃいけないんだ!



「父上! 問題があるのはミロアの方なんです! あいつはしつこく僕につきまとってきたから僕は嫌気が差して構わなくなったんだ! そのくせに少し突き飛ばしたくらいで愛想つかすなんて馬鹿にしてるだけだ! そんなやつとの婚約なんかこちらから願い下げるべきなんだ!」


「……突き飛ばしたことを認めたな?」


「話をずらさないでください! 突き飛ばされたミロアの落ち度だ! レトスノム公爵家がすごい家かもしれなくてもミロアは女として価値なんかないんだ! あんな頭のおかしい女なんて僕はいらないし、王家だって王妃になられても困るに違いないんだ!」



僕はついカッとなって自分の思いを打ち明けた。でも、後悔はしていない。これで父上もわかってくれると思ったからだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ