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第27話 家族のために

(迂闊だったわ、私の親族はお父様だけじゃない!)



それは義母と義妹が別の屋敷に暮らしていることだ。離れた場所に親族が暮らしているのは格好の的になるではないか。今までそんなことに気づかなかったことに憤るのも忘れて、ミロアは父に進言した。



「お父様! 二人の屋敷に寄るのなら、その屋敷の警備を厳重にするようにしてください! 彼女たちもれっきとした私達の親族、二人にもよからぬ者が接触する可能性があります!」


「お、おお、そうだな……勿論、イマジーナは妻でスマーシュも娘だし警備は怠っていないよ。だから、寄った時に怪しい者を近づかせないように衛兵達にいい含めておこう」


「たとえ王族相手でも近づかせてはならないとも言ってください!」


「も、勿論だ。今の王家と我が公爵家は婚約のことで揉めているからね……」



バーグはミロアの鬼気迫る態度に若干引き気味だが、どこか嬉しくもあった。



「……ミロア、私は嬉しいよ。今までガンマ殿下しか見えていなかったミロアが家族のことでこんなに真剣に考えるようになってくれて。こんなに私やスマーシュとイマジーナのことを心配してくれるのなら、皆で一緒にこの屋敷に住んでいけそうだな」


「はい、今すぐ……じゃなくて、しっかり準備を整えてから一緒に住みましょう。最初はぎこちなくても楽しくなります。誰かといることは、それだけで温かいんですから」


「ふふふ、そうだね……」



それはミロアの本心だった。前世の記憶を思い出したことで家族の尊さも理解できるようになったのだ。前世では、両親を若い頃に亡くしたために、家族のありがたみを『失って初めて気づく』ことになったのだ。



(もう失って初めて気づいたは御免よ。今のうちにこの世界の私の家族を一つにしなきゃ!)



嘗てガンマしか見ようとしなかったミロアには到底ありえないことだっただろう。ミロアは自分のことをそんなふうに思っているし、バーグもまたミロアをそのように見ていた。



「……そうだね。そのためにも私も頑張ろう。ミロアや私、スマーシュとイマジーナのためにもね」



バーグは父としてニッコリと笑った。心の中では、ミロアのように家族のために力を尽くすという決意があった。

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