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第23話 足りないもの

ダスターとスタードの意見を聞いて、前世の知識とこの世界の知識を中心に考えるミロア。そしてミロアは自分に足りないものに気づいた。



(そうだわ。今の私は足りないものがあったんだわ!)


「……そうね、ありがとう。大事なことに気づいたわ。それなら私にも専属騎士が必要ね」


「専属騎士ですか? お嬢様が必要ないと仰っていましたが?」


「ガンマ殿下との関係が駄目になった以上、私の騎士を側に置くことに何の不満はないわ。学園に復帰する前に専属騎士になってくれる人を探さないといけないわね」



ミロアの生きるこの世界のこの国では、侯爵から公爵級の上級貴族の令嬢は自身を守る専属騎士を側に置くことが学園で許される。嘗てのミロアはたとえ自分を守るためだとしても、ガンマ以外の男性を側に置くことを拒否したために専属騎士を決めなかった。女性騎士もガンマが目移りするかもと言って側に置こうとしなかった。


皮肉なことに、そのガンマから身を護る目的で専属騎士が必要になるとは……。



「かしこまりました。それではガンマ殿下の側近に負けぬような相当腕の立つ者が必要になるかと」


「よろしければ我らもお嬢様にふさわしい騎士を探しますので」


「ええ、お願いね。お父様とも相談しないといけないから騎士は貴方達に任せるわ」


「「はっ」」



ダスターとスタードはベテランの騎士。人望もあって人脈も広い。その二人が探し出してくれるのであれば、専属騎士の方は大丈夫だろうとミロアは思う。それにあの二人はミロアがガンマを警戒していると見抜いている。期待できるだろう。


だが、前世の知識の影響でそれだけでもミロアは安心できなかった。



「専属騎士が決まる前にガンマ殿下が何かしら仕掛けてくるかもしれないわね。もう屋敷にいるからって安心しないほうがいいかもしれない? 今日みたいな事があったのだからもう一度くらいガンマ殿下が突然やってくるか取り巻きや側近をけしかけてくるかも……」



ガンマは王族だ。その立場故に側近や取り巻きも当然存在する。その他にも顔すら知らない部下がいてもおかしくない。そういう類の人を使って来る可能性は十分ある。そうなると婚約を白紙にできても長い戦いになるかもしれない。



「改めてガンマ殿下の人間関係を調べ直し、私のことも整理し直さないとね。人の心は複雑だもの。取り巻きはともかく、側近の者達なら考え方次第では殿下から引き離せるかもしれないしね」



ガンマの側近は今は二人だけ。最初は三人いたのだが、一人はガンマがミーヤに執心しだした後に辞めてしまっている。その辞めたという人物は他の二人に比べればまともだったとミロアは思っている。



(王子の側近……ゲームとかでいう攻略対象という感じかしら。騎士団長と宰相の息子だったはずだから、父親の肩書で驕っているかプレッシャーになってる可能性があるわね。付け入れる要素がありそう……)



つまり、残った二人は癖のある人物だということだ。ガンマに忠実とは言えないくらいには。



「……そうなると、うまく利用するためにも私自身が最低限強くならないといけないわね」



ミロアは足りないものを補う決心を固めた。

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