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第179話 親としての責務

ミロアたちが去った後の王宮では、国王とやっと立ち直った王妃が話し合っていた。



「――……ということになった。そなたが休んでいる間に決めてしまったが……」


「陛下、お気になさらないでください。私がいてもそういう話になっていたでしょうから……」



ただ、立ち直ったと言っても王妃の顔色は全く優れない様子だった。息子が罪を犯したと聞いて憔悴したばかりなのだ。おろらく、しばらくは休む必要があるだろう。それでも、ガンマの最終的な結果を知りたいのは母親という立場からなのだ。王妃としても母親としても、ガンマのことでどんなことでも知らなければ気が済まない。



「ただ、ガンマは最後に変わったと思うぞ。何しろミロア嬢と互いに向き合って、互いに『許さず憎まず』という結論に至ったのだからな。正直、私は驚きを禁じ得ない」


「私もです。まさか、ここに来てそんなふうに考えるようになるなんて思いもしませんでした。ガンマがミロア嬢を許さないのは分からないでもないですが、憎まないというのは……」


「まあな。ミロア嬢の過激なアプローチはともかく、あらゆる面でガンマの上をいく姿は劣等感を抱かせるには十分すぎる。ある意味それこそがガンマがミロア嬢を避けたがる最大の理由だったのかもしれんしな……」



国王夫妻もミロアがあらゆる分野でガンマより上の成績をいくことは分かっていた。もちろん、ガンマがそれで劣等感や憎悪に近い嫉妬心を抱いたことも。しかし、そういう負の感情も成長していけばある程度払拭できると楽観視していたのだ。



「私達は、親として失格だな。ガンマの気持ちに寄り添うことが出来なかった。ガンマのミロア嬢に対する負の感情が成長に連れて和らぐなど何を根拠に考えていたのやら……」


「そうですね。王家の威信を守ることばかり考えていただけに、我が子の気持ちを都合のいいように考えすぎたのですね。振り返れば、こうすればよかったとかああすればよかったとか思うことばかり……」


「幼い頃に婚約をしたのが悪かったのか、もっと子煩悩になってやればよかったのか、ガンマの気持ちを考えて婚約を早く解消すべきだったのか……振り返って考えるだけできりがないな……」


「その全てが反省すべき点なのでしょう。それを生かさないとアナーザも二の舞いになってしまいます」



第二王子アナーザ。新たな王太子になったガンマの弟。兄のガンマに比べて成績優秀で頭がいいが、ガンマのことを思うと同じことにならないかと国王と王妃は不安になってしまう。それだけ子育てに自信がなくなっていたのだ。



「アナーザの子育てには楽観視はしないようにせねばならん。成績は置いといて心を重視して向き合っていこうと思うのだ。ガンマに出来なかったのがそういうことだからな」


「心……そうですわね。そして、それは今のガンマにも同じことです。随分と遅くなったでしょうが、今からでもガンマの心に向き合っていけば……」


「それが我らの親としての責務……当然のことだったな」



国王も王妃も我が子達に対してもう一度話し合おうと決めた。

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