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第171話 予想が外れた

ガンマが牢屋から出されたのは、牢屋に入れられた一時間後のことだった。



「ガンマ殿下、国王陛下がお呼びですので出てきてください」



牢屋を開けた騎士はよそよそしくガンマに声をかける。あからさまにガンマのことを嫌っていることがよく分かる。



「……ああ、今いくよ」



そんなことはガンマも見てよく分かるのだったが、特に気にすることはなかった。少し前までのガンマであれば、そんな態度を見れば癇癪を起こしていたが、今はそんなことはしなかった。



「……?」



ガンマの様子がいつもと違うことに騎士も気づいたが、それを口にする気はなかった。ガンマの将来がすでに真っ暗なのが分かっているため、余計なことを気にする気にならなかったのだ。



外に出ればすでに日が沈んでいた。こんな時間に呼び出されるということは、自分達がしでかしたことはよほど大きなものなのだとガンマも理解した。



「殿下、心の準備で出来ていますか?」


「ギンベス……分隊長……」



王宮に向かう馬車の前でギンベス分隊長が待っていた。その顔は神妙で、まっすぐにガンマを見つめている。まるでこれが最後だと言わんばかりに。



「ミロア嬢は殿下の答えを待っているようですので、できれば陛下に全てをお話してから罰を受けてください。私の言葉の意味を理解してくださればいいのですが」


「……安心しろ。全部話すよ。たとえ、僕が本当にすべてを失うことになってもだ」


「さようで……」



それ以上の会話は無かった。ガンマは一切の抵抗もなく王宮に向かう馬車に乗り込んだ。ガンマなりに心の整理がついて覚悟が決まったようだ。





王宮の謁見の間にて国王とガンマが向かい合っていた。この場に王妃がいないのはガンマの不祥事を聞いて心労で倒れたばかりだという理由があるからだ。



「……そういうわけで王妃はおらぬが、文句は言わせぬぞ」


「分かっています。今まで散々迷惑をおかけした父上と母上にはこれ以上の文句を言う資格など僕にはありませんので」


「む? 分かっておるならいい」



国王は少し意外に思った。いつもなら、王妃がいないときは『母上を出せ』と遠回しに言い出すのがガンマの悪い癖でもあった。母親に頼ってしまう傾向がガンマにあったため、今回もそうすると思っていただけに予想が外れたのだ。



(そういえば、よくよく見ればガンマは憑き物が落ちたような顔つきになったな。捕らえる直前でミロア嬢に何かしらの約束事を決めて返事を待つということのようだが、それが関係しているのか? だが、その前にガンマの口から聞かねばならんことがある。まずはそこからだな)



国王は、まず最初にガンマの口からすべてを語らせようとしてみた。実のところ、ミロアたちや騎士たちから大体のことを報告されているのだが、試す意味でガンマの口から語らせることにしていたのだ。



「まずはお前の口から事実確認を取りたい。ガンマよ、お前たちがしでかしたことを申してみよ」


「分かりました。僕とローイ・ミュドは……――」



国王にとって更に予想が外れたのはこの後だった。ガンマは本当にそのまま話したのだ。



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