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第167話 守ってくれる騎士

保険のために取り込んだガンマが今の様子では、ローイの立場は終わったも同然だ。騎士に捕まれば、ガンマからでも男爵からでもことの全貌が知れ渡るのは間違いないのだ。不貞させる計画を企て、ガンマを唆したのはローイだと言うことも明かされるだろう。取り乱す理由としては十分のようだ。



「み、ミロア様ぁ! 僕は、ローイ・ミュドは! ミロア様を本当にお慕いしております! どうか、オルフェ・イーノックじゃなくて僕を……!」



ローイなりにミロアへの愛を叫ぶが、ミロアどころか誰もが真面目に聞きたいとも思わない。むしろ耳を塞ぎたいくらいが大多数だ。それはローイの動きを止めようとする騎士たちも同じ。



「おい! いい加減にしろ!」


「聞くに耐えん! 大人しくするんだ!」


「嫌だ! うおおおおおおおおお!」


「うわっ!?」


しかし、ローイは並の騎士よりも実力があった。短剣を上手く駆使して騎士の一人を傷つけることが出来たのだ。更に、騎士から剣を奪って振り回しながらミロアに迫ろうとする。



「ミロア様! 認めません! 僕は認めない! こうなったら力づくでも貴女を奪ってやる!」



ガンマが大人しくなった時点でミロアは彼らから離れていた。だからこそローイが全速力で迫ってきても、ちょっと距離があるのだ。その間に、ローイを止めることなど容易い。


並の騎士以上の実力を誇る専属騎士がミロアのそばにいるのだから。



「そこまでだ!」


「っ!?」



黒髪ポニーテールの赤眼で二十代前半くらいの女性騎士がローイの前に立ち塞がった。彼女の名前はソティー・アーツノウン。ミロアの専属騎士の一人だ。



「ちぃぃぃ、どけぇ!」


「どかぬ!」



ローイの剣とソティーの剣がぶつかる。両者とも剣術に秀でているが、ここはソティーのほうが勝っていた。



「この無礼者が! 我が主に近づくな!」


「くっ!」



剣術もすごいが、ソティーは常人を超えた気迫も兼ね備えていた。凄みだけでローイを怯ませ、目にしている騎士たちも戦慄させるほどに。



「必殺・激土流河げきどりゅうが!!」



そして、大げさな技も堂々と披露する激しさも兼ね備えていた。技名と同時に目にも止まらぬ速さで連続斬りを放ったのだ。



「ぐあああああああああっ!?」



ローイは早すぎる連続斬りを防ごうとしたが、全てを防ぐことは出来ず、悲鳴を上げながら切り刻まれていった。



「あ、ああ、あ……」



切り刻まれたローイの有様は酷かった。手は血だらけで剣を握ることもできなくなり、服もボロボロ、顔も両頬が切り傷ができていた。貴族の青年が一人の女性騎士と剣を交えただけでここまで変わり果てるなど誰も思っていなかった。



「ふむ、腕に覚えのある貴族の青年でも私にかかればこんなもんか」



ローイが倒れると同時に、剣を鞘に収めるソティー。そんな光景を誰もが息を呑んで見ていた。



(あらやだ。私の騎士って素敵じゃない!)



ミロアは誇らしく思った。自分を守ってくれる騎士の強さに感激したのだ。



「流石は私の専属騎士!」


「お褒めの言葉をいただき光栄です」



思わず声に出したミロアだが、本気で称賛されたと思ったソティーは謙虚な態度で褒め言葉として受け取った。

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