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第19話 謝らせる

ミロアはガンマと対面する直前にダスターとスタードにしめし合わせていたのだ。もしもガンマがミロアに暴力を振るうようなことがあればギリギリの所で押さえつけるだけでいいことと、謝罪すれば解放してもいいことも。



「殿下、解放してほしいのなら私に謝罪してください。学園で突き飛ばしたこと、今さっき殴ろうとしたことも」


(本当はもっと色んな理由で謝ってほしいんだけど、あまり調子に乗るのもね……)



ガンマは学園でミーヤという男爵令嬢にご執心でミロアを避けてきた。そのことでも謝らせてもいいのだが、そこまでさせようとすると逆上して話が通じなくなるかもしれない。それでは『この後』の作戦が実行できない。だから暴力沙汰のことだけ謝らせるのだ。



「わ、分かった! 謝る! 謝るから! すまなかったミロア! 僕が悪かった! もう暴力なんかふるわないから許してくれ!」


「……謝罪は受け取りました。それではダスターもういいですよ。殿下を離して」


「はっ」



ダスターはガンマの腕を離した。ただ、それでも鋭い目でガンマを見るのは警戒だけは解いていないため。これもミロアとしめし合わせたことだ。



「うう……僕は王族なのにこんな……お前の護衛はどうなっているんだ!」


「護衛らしい行動ではありませんか。それに王族にあるまじき振る舞いをしたので正当防衛をしたまでです。当然、このことも王家にお伝えしなければなりませんね」



王家に伝えると聞いたガンマは悔しがるのをやめて、目を見開いた顔を上げる。



「そんな! どうしてそこまでするんだ! 僕は一応謝ったじゃないか!」


「それとこれとは別です。もちろん、その前に公爵である父にも伝えます。もしかしたら、婚約解消ではなく婚約破棄に持っていけるかもしれませんね」


「は、破棄……」



婚約解消と婚約破棄では意味が違ってくる。解消なら穏便に済むが破棄なら非がある方が慰謝料を払わなければならないのだ。そんなことになればガンマの王太子の立場がゆるぎかねない。



(こ、この女に何があったんだ!? まさか、僕が突き飛ばしたことでおかしくなったのか!?)



ガンマはミロアの外見の変化に最初は驚いたが、自分の気を引こうとしていただけだと思っていたのだ。だが、一切表情を変えなかったり進んで婚約の白紙を望む言動から内面も変わったのではないかと考え始める。



「み、ミロア、何も僕は婚約の解消なんか望んでいない! そもそも僕達の婚約は王家と公爵家の政略結婚だろう。それを僕やお前の意思で勝手に解消なんてできるはずが――」


「できますぞ、ガンマ殿下」


「当然ですな」


「え?」



ガンマの声を遮うるように口を挟んだのは、ダスターとスタードだった。二人はガンマを睨みながら語り始める。

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