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第156話 再会

状況を察する事ができないガンマに対してローイは激しく苛立った。



(くそ! バカ王子はまだ状況がわからないのですか!? 後のリスクは高いが我々は早く逃げ……いやこの王子はもう不要だ。僕だけでも逃げないと!)



ローイはガンマも男爵も置いて一人で逃げようと考え始める。しかし、後のことはどうにでもなると思った直後、決して聞き逃すことが出来ない声を聞いてしまった。





「あら? もしかしてガンマ殿下とローイ様でしょうか?」





「え?」


「え?」




ガンマもローイも己の耳を疑った。こんな時に女性の声。いや、それ以上に二人がよく知る声だったのだ。ガンマにとっては元婚約者の声であり、ローイにとっては最も憧れた女性の声だったのだ。


そして、今の二人が求めている女性……その声のさきを振り返ってみると、そこにいたのは艷やかな赤い髪を肩口に揃え化粧を慎ましい感じに抑えた美少女だった。



「み、ミロア……?」


「ミロア……様……なのですか?」



学園を一ヶ月近く休学した公爵令嬢がいたのだ。



「お久しぶりですね。お二人共」



従者の格好のガンマとローイにニッコリと笑いかけたのは、ミロア・レトスノム公爵令嬢だったのだ。



「み、ミロア! 本当にミロアなのか!?」



何故ここにいるのか、どうしてこんなタイミングに現れるのか、そういった疑問が浮かぶがガンマはそれを一瞬で頭からなくして、自分に都合のいい状況になったと勝手に解釈した。



(なんてことだ! 絶好の機会ではないか! 今ここでミロアとよりを戻せば全てがチャラだ!)


「そうですが……どうやらガンマ殿下は私のお顔をお忘れになられたようですね」


「いや、そんなことはない!」



ガンマは激しく興奮して、周囲のことを気にしないでミロアに向かって叫びだした。



「なあ、ミロア! ぼ、僕との関係をやり直さないか!? 今までの僕はお前と向き合うことをしなかったことが一番いけなかったんだ! それがいけないことだったとやっと気付いたんだ!」


「……」


(当たり前でしょ……)


「ミーヤとかいう男爵令嬢……悪い平民の娘に騙されてしまったことも僕の落ち度だったことは認める! お前に一切の非はなかった!」


「……」


(騙されたんじゃなくてそっちが勝手に執心したんじゃない……)


「ミーヤに唆されてお前に暴言を吐いたり、暴力を振るったことをずっと悔やんでいたんだ! 僕は自分の非を全て謝罪する! 本当に済まなかった! だから……」


「……」


(だめだこいつ)



自分の非を認めるというガンマだったが、暴言と暴力をミーヤのせいにしている時点で全てを反省していないとミロアは思った。



「……なんですか?」


「僕と婚約し直してくれ!」


「嫌です」


「へ?」



だからこそ、ガンマからの求婚を即答で断った。



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