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第154話 胸騒ぎ

その後、ミーヤと銀髪灰眼の青年の会話は続いた。ガンマ達の……遠目で見た限りでは、二人はそこそこ楽しそうに話しているように見える。


その様子をガンマたちは容赦なく写真に撮り続ける。



「ははははは! これはいいぞ! 予想通りミーヤに誘惑されて不貞……これならミロアも奴に失望してもう一度僕に……ふははははは!」


「「…………」」



ガンマは計画がうまくいっていると思って大喜びだ。だが、男爵とローイの方は素直に喜べない。男爵としては娘が悪事を強要されてる状況なのだから悲しみと悔しさしかない。


そして、ローイの胸中には胸騒ぎがするのだ。



(……やはり何かおかしい。オルフェ・イーノックは気弱な侯爵令息という印象があったが、不貞をするリスクが分からないほどのバカではないはず……それなのに、ミーヤ嬢に偶然を装ったとはいえ二人きりで会話する状況になれば渋るか遠慮する素振りくらいあるはず……)



ローイの記憶ではオルフェは成績上位で、少なくともガンマのようなバカでは無かった。散々言い争ったこともあるため、オルフェの思考力はそこそこ高いことは分かっていた。



(それなのに、今の奴は考えなしのように見えてしまう。よく考えれば、簡単にこんな行動に出るのはおかしい)



しかし、今ミーヤと楽しそうに会話する銀髪灰眼の青年オルフェはとてもローイの記憶にあるオルフェ・イーノックと結びつかない。姿、顔、それらは全く同じに見えるのに行動ので方が違って見えてしまう。


これではまるで別人ではないか。ローイは遂にそう思った。



(……もしも、あの男がオルフェ・イーノックではない別人だとすれば……あんなに似ている存在がいる理由があるとすれば……)



ローイの胸騒ぎが大きくなっていった。ミーヤたちを見ている間にも、非常に不味い予感が膨れ上がる。それと同時に銀髪灰眼の青年に対する違和感の正体にも気づき始める。



(そもそも、あの男の顔……表情があまりにも単純すぎるというか変化が乏しい……。人間の表情というものはもっと複雑で筋肉の動き方次第で様々な変化をする。あの男の表情は一定の変化しかない……本当に作り物……?)



オルフェは気弱そうな印象はあれど、感情表現力に乏しいわけではなかった。むしろミロアのことになれば、そこそこ感情的になっていた。無論、表情の変化も激しい……それもローイは知っている。



(……あれは、あの男はオルフェ・イーノックではない? だとしたら、我々は別の男を追って……いや、追わされていた? 計画の失敗どころか、それを通り越して不利になるように誘導されたのでは?)



胸騒ぎを通り越して顔が青く染まり始めるローイは、写真機の音はおろかガンマの密かな笑い声すら耳に入らなくなるほど。心の中で動揺し始める。



(だ、誰が我々を? しかも、計画を知って? オルフェの偽物を仕立て上げて? ここまでできるそんざいがあるとすれば……)



ローイは最悪の状況になっているのではと思い始めた。その時だった。

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