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第151話 違和感

ガンマ、ローイ、そして男爵とミーヤはオルフェを待つために、貴族街の目立たない所で待ち伏せることとなった。



「おい、ここで奴を待つのか? っていうか本当に来るんだろうな?」


「はい。父親の付き添いと本人も買い物やら手続きやらで来るはずです」


「……この僕にこんな格好をさせるまでさせたんだ。今日、オルフェ・イーノックが来なかったら許さないぞ」



不服そうなガンマの今の姿は使用人の格好だった。それはローイも同じ。この二人は悪い意味で有名人であるため、表向きは男爵の使用人に偽装しているのだ。ガンマは抵抗があるため嫌がったが、王族は顔が知られていることは理解できるため渋々今の格好を受け入れたのだ。



「あのぅ……オルフェ・イーノック様とは、あの方ではありませんか?」


「「っ!?」」



男爵の視線の先を振り返るガンマとローイ。すると、銀髪灰眼の青年が一人で歩いているのが見えた。上級貴族の若い青年の身なりをしたその顔は、女性なら誰もが振り向くであろう美形、何よりも目立ちやすい銀髪。それを見たローイがいち早く声を出す。



「来ましたね、オルフェ・イーノック……!」


「何!? あいつがそうなのか!?」



ローイは銀髪灰眼の青年のことをオルフェだと小声で吐き捨てた。その直後に、ガンマは遠目でマジマジと銀髪灰眼の青年を忌々しげに眺める。



「あいつがオルフェ・イーノック……勝手にミロアと婚約しやがった邪魔者か……! 初めて見たからその顔を覚えてやるぞ……!」


(初めて見たって、あの男はミロア様の幼馴染なのに本当に知らなかったのか……僕はミロア様の周りをちゃんと知り尽くして……ん?)



ガンマの態度に呆れつつも、ローイは銀髪灰眼の青年・オルフェ・イーノックに妙な違和感を感じた。学園で最後に見たオルフェと遠目から見る今のオルフェと何か違う気がしたのだ。



(……? 背丈は同じ、体格も同じ、何より顔はオルフェ・イーノックそのもの。少し髪が長く見えるけど、奴に双子の兄弟も同年代の親戚もいないはず……髪型に若干の違いがあるからか? 髪型を変えて気分転換でもしたいるのか? しかし、この違和感は……表情がおかしい?)



銀髪灰眼の青年に少し違和感を感じる。特に表情が不自然に感じるのだ。顔はオルフェそのものだが表情がおかしい。笑顔を浮かべて歩いているが、その笑顔が何やら……作り物のように見えなくもないのだ。



(気持ち悪いな。オルフェ・イーノックはあんな笑顔をする男だったのですかね?)



だが、そんな違和感を些細な問題とローイは判断した。そんなことを気にするよりも大事なことがあるからだ。



(ふん。おそらく、ミロア様と婚約できたから舞い上がってそれが無意識に顔や態度に出ているのでしょう。不相応な分際で……今にその気分をぶち壊してくれましょう)


「いいタイミングです。それではミーヤ嬢、出番ですよ」


「そうだ、行け!」


「……はい」



ガンマたちに命じられるままに、ミーヤは銀髪灰眼の青年・オルフェ・イーノックの元に走り出した。

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