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第146話 今日を振り返る(2)

二人の伯爵令嬢が帰り、父を問い詰めて意気消沈させた後。ミロアは自室で今日のことを振り返る。



「友達が二人もできた……まさか、あそこまで感謝されるとは思わなかったけどね……」



レイダもアギアも、心が救われたと言ってミロアに涙までうかべて感謝したが、実はミロアにそういう意図はなかった。それだけにミロアは少し恥ずかしく思ってしまっていた。純粋に余計なことをして足を引っ張られるのが嫌だったというのが本音で、心を救うのは手段に過ぎなかったのだ。


そして、アギアはともかくレイダのことが前世にでいう『悪役令嬢』に見えたため、放って置けなかったというのもある。前世を思い出す前のミロアに少し似ていたレイダのことを見過ごせなかったわけだ。



「それにしても、『悪役令嬢』か……」



悪役令嬢。それは前世の記憶にある『日本』の流行になった題材。元は乙女ゲームの悪役とされ、後に転生主人公として扱われる存在。そんな『悪役令嬢』にミロアは複雑な感情を抱き始めた。



「乙女ゲームとかの『悪役令嬢』の立場って残酷だけど、転生モノの立場では大概逆転とかしてる。よく考えると、逆転って実際難しくない? いくら前世の記憶があるとしても……」



前世の記憶を駆使してメインヒロインと立場が逆転という内容の話をよく知っているミロアだが、思い返すと無理やりな設定や非常識な内容があるからこそ逆転するシナリオがが可能だと理解する。本当の貴族の立場になって、貴族のしがらみを知ってしまったからこそ、前世の転生逆転モノの話が非現実的だと思えて仕方がない。



「だけど、乙女ゲームのシナリオ通りになるのも無理があるわね……」



乙女ゲームのシナリオは身分の低い令嬢や平民の女性が王子や上級貴族の令息と結ばれる話なのだが、それも現実的には無理がある。身分の高い者ほどプライドが高いし、身分の低い者ほど強く出れない。そんな中で乙女ゲームのシナリオが簡単に成立するとは思えないのだ。



「……そうなると、今頃『ヒロイン』はどうしているのかな?」



ヒロイン。ミロアの今生きる世界において、その立場にいるとミロアが勝手に思っている令嬢は今どうしているか気になり始めた。情報では、学園を休学しているということになっているが、今はガンマと元側近が接触を図ったというらしい。



「あの最低な男達に悪いようにされていなければいいけど、男爵令嬢だしね……」



貴族の世界は徹底した身分制度だ。男爵令嬢が王族に逆らえるはずもない。つまり、都合のいいように利用されるのはほぼ確定で間違いないだろう。



「だけど、私も立場があるし何よりも助ける理由もない。もしも敵対するようであれば容赦はしない……かな?」



ヒロインが敵対してくるようなら容赦はしないというが、前世の影響のあるミロアには残酷な手段は難しいかもしれない。

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