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第141話 知らされていなかった事実

そんなミロアに構うことなく、エイルは語り続ける。ミロアに知らされていなかった事実を。



「実は、昨日の夜にとある人物の使いから重要な報告が来たのです。『ガンマ殿下とローイ・ミュドがマーク・アモウに冤罪をふっかけている間に、ミーヤ・ウォームに接触を図った』というのです」


「ええ!? なにそれ!?」


「「っ!?」」


「その目的は、『ミーヤ・ウォームにオルフェ・イーノックを誘惑させて不貞の証拠を作ろうとしている可能性が高い』とも伝わっています」


「んなぁっ!? は、ハニートラップってこと!?」


「「??」」



ハニートラップ。この世界では馴染みがない言葉であるためミロア以外に分かる者はいないが、なんとなく察しがついたエイルは肯定する。



「……そういうことになりますね」


「本当に最低な男達……!」



ミロアの頭の中は最低な男達に対する怒りと嫌悪感だけになった。婚約を破談にするために他の女を使って不貞をさせようとするなど卑劣極まりない行為。しかも、王族が上級貴族が男爵令嬢に実行させようというのだからたちが悪い。



(まさか、オルフェに不貞をさせて婚約破棄を狙うとは予想していなかったわ。前世の投稿小説でもそんなパターンは稀だったし……いや、問題はそこじゃなくて……あれ?)



前世の記憶を使ってどのように対処すればいいか考えようとしたところで、ミロアは気づいた。そんな事実を知らされたのが今だということに。



「ちょっと! どうしてそんな大事なことを私に伝えていないのよ! 昨日の夜って、私や皆が寝静まった頃だとでもいうの!?」


「はい。お嬢様がちょうど就寝なされた時間帯に報告がありましたので」


「起こしてくれても良かったのよ! そんな大事な話なら!」


「私もそう思いましたが、そんなことをすればレイダ様とアギア様とのお話が楽しみのあまりいつもより早い時間にご就寝されたお嬢様に気の毒だと旦那様がおっしゃったので、今日まで伝えておりませんでした」


「う!?」


「「っ!」」



エイルのいうとおりだった。ミロアは今日のために万全を期して臨むために、いつもより早く寝たのだ。前世の記憶の中で『寝る子は育つ』とか『睡眠が最大の休息』と聞いたことがあるため実際にやってみたわけだ。


事実、よく寝たおかげなのか気分は悪くはなかったとは思っている。



「そ、そうだったわね。でも、今日の朝くらいに言ってくれても……」


「あれだけ張り切っていたお嬢様の御心に朝から無粋な話をするのはいかがなものかと思われますが?」


「でも、今言ったじゃない!」


「それは旦那さまから『どうせ会話のなかばでオルフェ殿の話題になって不安になるだろうから、その辺りで切り出せばいい』と言われておりました」


「は? それって……」


「「……」」



つまり、父バーグは今の展開を予測していたということだ。それを理解したミロアはこの場にいない父に向かって文句を吐き捨てた。



「お父様の性悪!」


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