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第137話 貴族令嬢と対面

ミロアが目覚めてから二十五日目。レトスノム家の屋敷に二人の伯爵令嬢がやってきた。レトスノム家は彼女達が来ることは分かっていたので客人として迎えた。そして、彼女達はミロアと三人で会話する予定であり、まさに今がその時だった。



(うわあ……前世を思い出した後で貴族令嬢を見ると不思議と感動してしまうわね。オルフェと再会した時もそうだけど、この辺りは私は『日本人の女性』だったんだって思い知らされるわ……)



ミロアの向かい側のソファに座る二人の伯爵令嬢。彼女達を眺めるミロアは顔には出さないが、不思議な感覚を抱いていた。それも前世の記憶の影響なのはまず間違いない。



(それにしても二人共対照的な感じだけど、いかにも『貴族令嬢』って感じね。それも上級貴族の伯爵令嬢だよ! 失礼だけど感慨深いわ……)



二人の令嬢。一人はレイダ・ブラッド。橙色の長い髪を一本結びにし、切れ長の赤い目に整った顔立ちで凛とした態度で座っている。もう一人はアギア・ファング。青い髪をセミロングにした黒眼で、穏やかで優しそうな顔つきだが、緊張しているのが目に見えて分かる。



(たしか二人は、同じ伯爵令嬢でも立場がだいぶ違う。ブラッド家は由緒正しい名門貴族、レイダ様はそれを誇りに思ってるからプライドが高いタイプ。ファング家は少し前に伯爵に昇格したばかりだからか、アギア様は未だに子爵家だった名残が強い様子、上級貴族についていくのがやっと……内気なタイプか。本当に正反対の二人ね。それでいて悩みは同じか)



ミロアがレイダとアギアに二人を冷静に分析して眺めている間、肝心の二人もミロアのことを分析していた。何しろ二人共、ミロアの変化には驚くしかなかったからだ。



((これがあのミロア・レトスノムなの!?))



レイダは上級貴族のプライドの高さゆえに顔には出さなかったが、内心ではだいぶ動揺していた。アギアもミロアのイメージを人づてに知っていたため、全く別人のようになってどう反応すべきか戸惑っていた。それだけに『前のミロア』と『今のミロア』は全く違うのだ。



(あの腰まで伸ばしていた赤い髪を肩口にまで切り揃えているなんて……ガンマ殿下のことは吹っ切れた証拠だとでもいうの? なんだか艷やかになってるし……)


(派手な化粧やドレスが特徴的だったけど、今は慎ましくて清楚な感じ……でも、今のほうが似合ってる……)



そして驚くだけではない。ミロアの変わりようを良き変化として受け取ったのだ。嘗ての派手派手しいミロアのイメージは、清楚で慎ましく大人びいたイメージへと変わるほどに。



(雰囲気的にも高みにいる上級貴族の夫人のよう……綺麗……)


(大人っぽくて、清潔感がある感じ……綺麗……)


「レイダ様、アギア様。本日は私のためにお時間を作ってくださって本当にありがとうございます」


「「え? あっ、はい!」」



ただ、互いのことを眺めて分析しているばかりではいられない。彼女達にはそれぞれ大事な話があるのだ。

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