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第136話 伯爵令嬢の手紙

学園で新たな騒ぎが起こる中で、レトスノム家の屋敷にレイダの手紙が届いていた。


その手紙を見るミロアは、深くため息を吐き出した。



「はぁ~……、あの馬鹿王子は一体何がしたいのよ。人の婚約を悪目立ちする形で広げるってどういう神経してんのよ?」


「全くだ。あんな男との婚約が白紙になって本当に良かった」



ミロアの父バーグもまた呆れてしまう。予想を超える行動を起こしたために、次の行動が読めなくなりそうと口に出しそうになるくらいに。



(学園の朝から私とオルフェが婚約したと叫んで、オルフェに突っかかるつもりでいたなんて……王家に伝えるのはもう少し後で良かったんじゃないかしら? オルフェも休みになってて良かったけど、あの王子のことだから今日もまた何かしそうね)


(まさか、朝からミロアの婚約のことを叫ぶような派手な行動に出るとは……どうせバラすだろうと思っていたがここまで……これは、今日も何かしそうだな)



親子揃って「今日も何かしでかすかも……」と思うのだが、実際今日も学園でとんでもないことが起きたとはまだ知ることはない。



「お父様、私達のせいで学園のほうが騒がしくなったみたいですわ。この手紙を送ってくださったレイダ様達のことも心配になってきました……」


「それは……まさか、彼女達の訪問を許すということか?」



手紙の内容は、『ガンマ達の行動に危機感を感じるので相談したい』というものだ。レイダともアギアとも関わりがなかったミロアだが、前世の記憶を元に考えると非常に興味深くて仕方がなかったのだ。



(こういう時こそ重要なのよね。物語の終盤に注目されていなかった人物が突然重要な役割を担う……この状況と同じ感じがする。ここは何としてでも相談というのにのらないと!)


「お父様、確かに彼女達との関わりはありませんでしたが、レイダ様もアギア様も元婚約者に振り回されたという経験をなされております。そして、それは私も同じ。同じ境遇を経験した者同士なら手紙の内容のような相談だけでなく、仲良くできる機会だと思います」


「……むう。だが、今まで関わりのなかった令嬢を客として迎えると……」


「確かに今日手紙が届いて、明日学園を休んでまで我が家に来るということは常識から外れていますが、そうしてでも伝えたいことがあるのではと思います」


「ふむ……よかろう。令嬢二人との会話くらい問題あるまい」


「ありがとうございます。それでは手間になりますが、こちらが了承した内容の手紙を、」


「私が書いて出そう。婿殿の家にも連絡はしておくし、今日中に届くようにしておくよ。お前は学友と会話する準備でもしていなさい」


「はい!」



屋敷に招いて会話する許可が出たところで、ミロアは早速自室に戻っていった。約一ヶ月近く他の令嬢に会っていないのだ。少し緊張もするのだろう。



「……あのブラッド家の令嬢がミロアに手紙か。それに成り上がりのファング家の令嬢も同席……奇妙な組み合わせだが、我が屋敷でというなら万全の準備をすればいい」



バーグは手紙を書きながら苦笑した。

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