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第130話 『どこかの……』

浮気。それを聞いたガンマは身震いした。



「う、浮気だと? ミロアの婚約者に?」


「ええ、『どこかの王子』がなさったことをオルフェ・イーノックにもしてもらうのですよ。それで婚約破棄……殿下なら言ってる意味わかりますよね?」


「っ!」



そこまで言われてしまえばガンマもだいたい想像がついた。いや、身震いを起こした時点で嫌な思い出を思い出しながら手段くらいは分かっていたのかもしれない。浮気、不貞、それは『どこかの男爵令嬢』に執心して自分の立場を失墜させた要因でもあるのだから。



「……わ、分かったぞ! オルフェ・イーノックに浮気させて不貞の証拠を作り、それをミロアに突きつけて二人の仲を裂くんだな!」


「正解です。流石は『どこかの王子』は身にしみてるから理解が早いですね」


「ぐっ……!」



胸にグサッと刺さる錯覚を感じるガンマは顔をしかめる。それをローイは愉快そうに笑った。



「ぐっ……確かに。だが、どうしようというのだ? 仮にもあのミロアを好いた男に浮気をさせるなんて難しいんじゃないのか?」


「へえ、それはどうしてでしょうか?」



意外なことを言い出すガンマにローイは少し驚いた。だが、表情はまだ変えない。



「ミロアは公爵令嬢だが、以前は……ちょっと行き過ぎた女だっただろう? しかも、それは学園で有名だ。いくら美人でも寄り付き難いだろう。そんな女と婚約するなんて相当な心構えがある男だろう」


「……そうですか」



ローイから笑みが消えた。ただ、それはガンマの言葉のすべてを肯定したわけではない。むしろ聞き捨てならなかった言動があるために急速に心が冷めたのだ。



(行き過ぎた女? 寄り付き難いだと? そこがいいと言うのに、何故気づかない……!)


「それに、例の婚約者はミロアの幼馴染だそうじゃないか。つまり、お互いのことをよく知っているってことなんだろ? そんな二人の間に浮気とか不貞とかが通用するのか怪しいじゃないか」


「……殿下にしては、頭を使っていますね」


「おい、不敬だぞ」


「褒めてるんですよ」



褒めているという言葉に嘘はなかった。実を言うと、ローイも同じことを考えていたのだ。ミロアとオルフェの関係は幼馴染だ。一方が浮気と言われても疑う可能性のほうが強いことも。



「確かに殿下の言う通り難しいのは確かです。ですが、逆に言えば成功すれば婚約を白紙にできるのは確実ということにほかならないでしょう。それに……」


「他に方法がない……そう言いたいんだろ?」


「その通り……手段を選ばなければ『相手を殺す』『攫う』という選択肢もありますが、それらはリスクのほうが高すぎますので手段から除外します。『どこかの馬鹿』の二の舞いになりたくないでしょう?」


「…………」



オルフェを殺すか、ミロアを攫う。そういう選択肢が危険すぎるのはガンまでも分かる。突然姿を消した『どこかの側近』は似たようなことをして罪に問われたのだから。





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