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第122.2話 大罪人

(元側近視点)



今日は僕にとって



「さあ出てこい! この第一王子ガンマ・ドープアントが呼んでいるのだぞ! さっさと出てこい!」



今日もミロア様が登校なさらないことに悲しみと寂しさを感じていた時、あのガンマ殿下の聞くに堪えない大声が聞こえてきました。誰かを呼んでいるようですが僕には関係ありませんからどうでもいいでしょう……



「ど、どういうことなのです殿下! ミロア嬢が婚約したというのは……」



…………………え? 今なんて言った? ナンテイッタ?



「聞いてのとおりだ! ミロアのやつは昨日、オルフェとかいう侯爵令息と婚約しやがったんだ! 元婚約者のこの僕に相談もしないでな!」


「「「「「っっっ!!!」」」」」



みみみみみみみみみミロア様がこここここここここここ婚約ぅぅぅぅぅぅぅぅ!?



「ガンマ殿下っ! それは一体どういうことなのですかっ!?」


「うぇっ!? お前はっ!」



関係のない話じゃなかった! ミロア様に関わることだった! し、しかも、婚約だなんてぇ!



「み、ミロア様が、僕の月が婚約したというのは本当ですか!?」


「ああ、もう、うるさい……は? 月?」



月だろう! あの闇夜にも赤く輝くような美しさをもった御令嬢を月と呼ばなくて何というのです! そんなことも分からないから婚約破棄されて全てを失うので……いや、今はそんなどうでもいいことよりも!



「う、嘘です! 嘘だと言ってください!」


「「「「「…………」」」」」



そうだ! 嘘! 嘘と言え! 嘘と言ってください! ミロア様が僕以外の男を選ぶ現実など嘘のほうがマシです!



「僕はオルフェ・イーノックに用があるんだよ。あんな気持ちの悪い男に構っていられないんだ。さっさとなんとかしろ!」



だが、そう思ってその時に、どうしても捨てならない名前を聞いていしまっていたことに僕は瞬時に気づいてしまいました……!



「お、オルフェ・イーノック!? どうして奴の名が出るんですか!?」



オルフェ・イーノックは、気弱そうで冴えなくて凡人で目立たなくて地味で目障りな小物という言葉を体現したような男。その分際でミロア様の幼馴染という立場にいる大罪人!



まさか、奴は、不相応なくせに、まさか、まさか!?



「うるさい! お前には関係ないだろうが!」



うるさい? それはそっちでしょう! そもそも……!




「関係ありますよ! ミロア様は僕の……僕の……」


「うぐ……っ!?」



勢い余ってガンマ殿下の胸ぐらを掴んでしまったが細かいことはどうでもいいのです。僕には、ミロア様を蔑ろにしてきた愚か者の大罪人から真相を聞かねばならないのです。言動次第では殺してしまうことも……それはミロア様を見る機会がなくなるので流石にそこまではできない。無力な立場が悔しい……!



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