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第120.3話 混乱

最初の僕の叫びにも負けないくらい大きな声で叫んで走ってくる男が……あいつはローイ、ローイ・ミュドじゃないか! 嘗てこの僕の側近でありながら、側近を辞めるという裏切り行為に出たあの不届き者の侯爵令息。こんな時に奴にやってくるとは……!



「み、ミロア様が、僕の月が婚約したというのは本当ですか!?」


「ああ、もう、うるさい……は? 月?」



相変わらずわけがわからないというか難しいことを言っているが……『ボクノツキ』ってなんだよ? 分かりにくいたとえなのか、あいつしか知らない知識か分からんが……こんな時に駆けつけてきやがって!



「う、嘘です! 嘘だと言ってください!」


「「「「「…………」」」」」



……なんて顔してやがる。周りの連中も凄く引いている。ここ最近、あいつがミロアに好意を抱いているという馬鹿げた事実が分かったばかりだがあんな馬鹿に構っていられないんだぞ!



「マーク、あの馬鹿をここから引き離せ!」


「ええ!?」


「僕はオルフェ・イーノックに用があるんだよ。あんな気持ちの悪い男に構っていられないんだ。さっさとなんとかしろ!」


「で、殿下! まず、今は場所を変えて出直しましょう! ひとまず詳しい話をしてから行動すべきです! ここでは人目があまりにも多すぎます!」


「はぁ!? そんなんじゃ遅いだろうが!」


「なっ!?」



こいつは何を言っているんだ? 詳しい話をする暇もないんだぞ? ミロアが僕以外の男と婚約したって事実を聞けば、僕が王太子に戻れないという危機を察知できるだろうが!



「お、オルフェ・イーノック!? どうして奴の名が出るんですか!?」



ほら見ろ、問答している間にローイが僕の目の前にまで来ちゃったじゃないか。ややこしい奴が話に加わってきやがった……!



「うるさい! お前には関係ないだろうが!」


「関係ありますよ! ミロア様は僕の……僕の……」


「うぐ……っ!?」



ワナワナと震えて鬼気迫る顔で王子であるこの僕に迫りくるローイ。胸ぐらまで掴まれてしまった……畜生、これって僕が言葉を間違えれば痛い目に遭いそうじゃないか。マークは……おい、離れていくな! 主を置いてどこへ行く!? 逃げるな!?



「ま、まてまて。ま、まずはオルフェ・イーノックに事情を聞こうじゃないか? あいつが僕達の知らぬところでミロアと婚約しやがったんだからさ……な?」


「…………」



無言で僕を離すローイだが、目つきが尋常じゃない。くそぉ、何故僕の側近はこんな曲者揃いなんだ!?



っていうか、オルフェ・イーノックはまだ出てこないのか!? さっさと出てきて、ローイに殴られるところから始めてくれ! この混乱をどうにかしてくれ!



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